第1258回
温度への挑戦が食品業界を変えます

いま新しいビジネスをはじめるにあたって
少くとも2国以上にわたって
生産から流通の展開を考えないと
成り立たない時代になってしまいました。

たとえば繊維製品の生産コストは
日本と中国で3対1になっています。
ユニクロが大当りをとったのも、
こうした価格差を利用して
日本でデザインしたものを
中国大陸の工場に委託加工をしてもらい、
日本で最終消費者に直結して
販売するルートを独自に開拓したからです。
当然、同業者も黙って指を食わえて
見ているわけもありませんから、
いまは日本のデパートで売られている商品の
かなりの製品にメイド・イン・チャイナの表示が
してあるようになりました。

また食品のコストはもっと差が大きく、
野菜は10対1、食肉には6対1というひらきがあります。
野菜には農薬や鮮度の問題、
食肉には病原体や輸入関税の問題があって、
さまざまなトラブルが生じます。
でも価格差があれば、儲けのチャンスがありますから、
この価格差を狙って業者が殺到します。
こういう時は日本の農民を保護するために、
関税を引上げたり、
輸入を制限したりしても効果はありません。
むしろブレーキになっている鮮度の問題とか、
味の問題とか、保存の問題を
うまく克服できた人の勝ちになります。

デフレの時代ですから
同じ物なら安い物がよく売れます。
同じ値段から品質のいい物に軍配が上がります。
しかし、消費者は安い物ばかりに
こだわるわけではありません。
欲しい物なら少々高くてもとびつきます。
むしろデフレが定着すると、
高くても売れる商品の開発が
物をつくる人の最終的な目標になります。

いくら安く売っても胃袋の大きさはきまっていますから、
売れる量には限りがあります。
すると他人をかきわけて先頭に出るためには
在来の商品の欠点や短所を解決するよりほかありません。
殺菌から加工まで温度のかかわりが大きいので、
食品の商売に従事している人たちは
全神経を集中してみて下さい。


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2003年8月20日(水)

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