第1150回
古い商売と入れかわる商売を探がせ
いつの時代にもベンチャー・ビジネスというのがあります。
人と同じことをやっていたのでは、
人に抜きんでるのは容易なことではありません。
たとえば、昔はのれん分けということがありました。
ソバ屋やスシ屋で修行した職人が同じ店の名前をもらって、
よそへ店を出すと言った親分、子分の関係です。
のれん分けをするくらいですから、
本店が一番勢いがよくて、
のれんを分けてもらった支店や分店は
その風しもに並ぶのが当然と思われていました。
いまはのれん分けをするよりも、
本店が次から次へと支店をつくって行きます。
それが100店をこえるようになると、
株式を上場できるスケールになります。
ここに至るまでのプロセスがベンチャーで、
誘われてそういう会社に出資すると、
ベンチャーに出資したことになります。
まだ海の物とも山の物とも
わからない事業にお金を出すのですから
一歩間違えたら出資金を
全部なくしてしまう可能性もあります。
しかし、チェーン・レストランがうまく行って上場すると、
その未来をはやして1株50円の株に
5000円とか1万円と言った高値がつくことがあります。
50円で買った株が5000円になれば元値の100倍ですから、
1000万円出資した人は10億円の資産家になってしまいます。
一度でもそういう好運にめぐりあったことのある人は
ベンチャーの醍醐味を味わったことになりますから、
きっとやめられなくなるでしょうね。
でもそんな目にあうのは、千に一つもあるかどうか。
回転ズシや100円ズシは同じスシ屋でも
一つの会社が何十軒でも拡げて行けますから
ベンチャー・ビジネスですが、
そういう店が現われると、
従来のスシ屋はお客を奪われて閑古鳥が鳴くようになり、
廃業に追い込まれてしまいます。
いままでになかった新しい企業が
旧態依然とした企業と入れ代わるのです。
従ってやるとすれば新しく入れ代わる側の企業で、
入れ代わられる企業の方ではありません。
新しい仕事をはじめる人は新しく入れ代わる仕事は
何かを考えればよいのです。
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