第982回
デフレが銀行を斜陽産業にします

銀行の貸し渋りが問題になっていますが、
銀行が貸し渋るのにはわけがあります。
一つには貸したお金が次々と焦げついて元本はおろか、
利息も払ってもらえないことが次々と起って、
銀行がすっかりおじ気づいてしまったからです。

お金が返せなくなっているのは
何も中小企業だけではありませんが、
中小企業は規模も小さいし、
資産もそんなにたくさんありませんから、
すぐ連鎖倒産をするし、
いざ倒産となると、ほとんど何も残りません。
「何であんな会社にお金を貸したんだ」
と審査部の人は責任を追求されるのをおそれるあまり、
中小企業からの融資申し込みには玄関払いをくらわせて、
誰が見ても文句のつけようのない大会社の申し込みには
無条件で応じようとします。
しかし、大会社は社債を発行して必要な資金を
自力で調達する能力がありますから、
何も銀行のお世話にならないでもやっていけます。
そういう優良会社が相手では条件も悪くなりますから、
銀行の立場は益々悪くなります。

結局、銀行としては産業界に資金の提供をするよりも、
サラリーローンの会社に融資するとか、
カードの貸越しに高利で面倒を見るとか、
でなければ、株やデリバティブでバクチをやっている
ファンド会社にバクチの資金を提供して
金利を稼ぐ仕事に力を入れるようになってしまいます。
産業界で大きな役割をはたしてきた役割が
大きく後退してしまったのですから、
銀行の出る幕はなくなってしまったのです。

7、8年も前に
「駅前の繁華街にある銀行の支店は
いまに3軒が1軒になりますよ。
銀行跡の利用法を考える時が来ますね」
と私は言ったことがありますが、
本当にそういうことになってしまいましたね。
假りに不良債権の整理がうまくいったとしても、
お呼びでないのですから銀行が往時の
「夢よ、もう一度」ということにはならないでしょう。
従って「嫁にやるなら銀行員へ」ということも
なくなってしまいました。


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2002年11月17日(日)

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