第898回
漢方の宝庫をちょっと覗いて見たら
どうして日本人がワサビに親しんで、
ニンニクと縁がなかったかというと、
日本人は魚食民族だったからです。
魚だとナマで食べることが多いし、
その臭味を消すにはワサビがよく效きます。
韓国も同じように海に囲まれています。
魚もたくさん食べますが、
韓国の人は基本的に肉食民族なんでしょう。
香料の使い方が中国人によく似ています。
肉食は中国大陸から中近東を経てヨーロッパ大陸に至るまで
遊牧民族をさしはさんでずっとつながっています。
肉食には肉の臭味を消す調味料が不可欠です。
交通不便な所は
香料を手に入れる方法がありませんでしたが、
東西の交易がすすむにつれて、胡椒をはじめ、
肉桂や唐がらしや丁子や茴香など
肉料理に不可欠の調味料がなくてはならない
存在になりました。
バスコ・ダ・ガマの喜望岬まわりも
マルコ・ポーロの東方旅行も
香料の道とかかわりがあると言われていますが、
アジアの涯ての日本だけが魚食のおかげで、
肉料理と切っても切れない
香辛料や醤(チャン)などの調味料と
縁が遠かったようです。
それが焼肉のブームが起ると同時に
ニンニクやキムチを毛嫌いしなくなりました。
となると、ニンニクも白くて柔かくて
あまり臭いのしない山東省産から、
紫色で堅くて辛い
四川省産のニンニクの本場の殿堂入りをすることに
なるかも知れません。
四川料理はご存知のように辛いのが主流をなしていて、
私たちのように馴れない者が食べると、
とびあがりたくなるくらい口がしびれてしまいますが、
そのベースになっているのが
ニンニクと唐がらしと胡椒と言った香辛料です。
キムチとニンニクもほぼブームが一巡しましたから、
この次はもしかしたら漢方薬の宝庫に
足を踏み入れることになるのではないでしょうか。
もしそうでしたら、
中国製の痩せ薬にひるんでなんかおられません。
私は雲南省も四川省も一巡してきましたが、
日本の食品業界にとっては未知の世界です。
四川や雲南の漢方の大学をのぞいたことのある人が
皆さんの中に何人おりますか。
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