第808回
中国の観光業は日本と少し違います
旅行が大産業になることは
30年も前から文章に書いてきました。
また旅行をテーマにした本もたくさん書いてきました。
でも私は旅行社も航空会社もホテルも、
手間がかかりすぎたり、資金がかかりすぎたりして、
事業としてはあまり儲からないので、
株として推奨したことは一ぺんもありません。
また事業としてやることにも賛成したことはありません。
とりわけ旅行社は
航空会社や鉄道やホテルからもらうマージンが少ない割には
人をたくさん使わなければならないので、
利益が思うようにあがらず、
従業員の給料を払ったら、社長の取り分が残らないので、
新規に旅行社をはじめたいといって相談に来た友人たちには
理由をあげて反対してきました。
その後の経過を見ていても、日本を代表するような旅行社は
かなりスケールは大きくなりましたが、
あまり目を見張るような業績をあげていないようです。
恐らく中国においても長期的に見れば
同じことが言えるかも知れません。
ただ中国の旅行社は観光地のホテルから乗物から
観光の対象になっている施設まで
丸抱えにしているところが多く、
高速道路と同じように、
その観光会社のお世話にならないと、
なかにも入れてもらえないようなところが
たくさんあります。
そういう観光会社や旅行社は
現在でも生産会社に負けないだけの利益を計上しているし、
国内の旅行がふえるにつれて業績もあがる方向にあります。
友誼商店のような観光客相手の
一見あまりパッとしない流通業でも
それなりの業績があがっているのは、
国内のチェーン店を海外の流通業者に開放するにあたって
パートナーとすることを条件にするために、
他に先立って全国展開ができるからなんですね。
こういう特権がはたしていつまで続くかはわかりませんが
先手必勝の有利な立場にいることは
人のあまり気づかないことの一つです。
中国の観光業者や旅行社が
日本人が考えるより好業績をあげているわけを
少なくとも中国株に投資する人は
知っておく必要があるでしょう。
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