第609回
商売やる人は自分の目でよく見てから

成都のもう一つの特長は
西部大開発の起点になっていることです。
成都から西に2億5000万ほどの人口があります。
これらの地域の特産物も成都を通って外へ出て行くし、
消費される商品もここを通って中に入って行きます。

北京政府が西部大開発の看板を大きくあげたのは、
沿岸の開発に取り残されることを懸念した面もありますが、
万一、国全体の成長が鈍化した場合、
公共投資を集中させて景気を刺激させる材料に使う狙いが
あったからでもありましょう。
成都の消費が想像以上に強いことは
私が成都につくったショッピング・センターの
売上げを見てもわかります。

私が紅星路という成都市の中心地区につくった
ショッピング・センターには
イトーヨーカ堂がキイ・テナントとして入っています。
ヨーカ堂の売場は地下1階から地上4階まで
合計5000坪ていどにすぎませんが、
土曜日曜になると、朝から店じまいをする9時半まで
足の踏み場もないくらいお客で混雑します。
開業当初は
地元の人たちの消費嗜好に通じていなかったので、
閑古鳥の啼く場面もありましたが、
すぐに要領を飲み込むと、
成都一、人の集まる百貨店になってしまいました。

中国にはダイエー、ジャスコ(いまのイオン)、
マイカル、平和堂、ニコニコ堂、
デパートでは伊勢丹、西武、そごう、以前の八百半と
日本の大型店が進出していますが、
恐らく売り場面積に比して最高の業績をあげているのは
ヨーカ堂の成都店でしょう。
上海や北京に比べて所得が低いのに
業績があがっているのは、
成都に個体戸(脱サラによる中小の創業者)が多いことと、
背後に巨大な市場が控えているからでしょう。

上海が中国の最先端を行っていることは
ご承知の通りですが、
生産拠点や店を出す時は別の尺度が必要です。
そういうことは自分の目で見ないとわかりません。
上海の方が所得が高いけれども、
成都の10倍もデパートがひしめきあっていますから、
商売は成都の方がやりやすいということになります。


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2001年11月9日(金)

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