第325回
日本は肺炎にならないですむでしょう
アメリカがゴホンと咳をすると、
ヨーロッパが風邪を引き、
日本は肺炎になると
長い間、言われてきました。
アメリカが世界最大の消費市場であり、
不景気でアメリカで物が売れなくなると、
日本の輸出産業が影響を受け、
株式市場もピンチになるという意味です。
日本経済が大きな成長を遂げ、
いまではアメリカに次ぐ所得の高い国になりましたから、
日本の不況がヨーロッパをはじめ、
他の国々にも大きな影響をあたえるようになりましたが、
いまもアメリカは日本の対外輸出の最大のお客さんですから、
アメリカの系キイにカゲリが出ると、
日本の産業界は最大級のピンチになります。
ニューヨークやナスダックの株価が下がると、
兜町がそれに右へ習えをするのを見てもわかります。
昨2000年の暮れからアメリカの経済がおかしくなり、
対応策としてグリーンスパンも金利の引き下げに
踏み切りましたが、下げ歩調になったアメリカの証券市場は
元気を取り戻しそうにありません。
ニューヨークの株が下がると、
ニューヨークでも株の売りが出ますが、
アメリカのファンドが日本株の投げ売りをします。
日本人がやらなくとも、外人投資家がやるので、
ニューヨークの株価が兜町に連動するんですね。
だからいまなお日本の投資家は
アメリカの相場を気にしながら、
株をやらざるを得ません。
しかし、輸出が日本のDGPに占める比率は
10%あまりだし、アメリカはその中の30%ていどですから、
国全体から見たらたったの3%です。
いくら景気が後退しても
外国から買っていたものが半減することはありませんから、
多く見積もっても1%から1.5%ていどの違いでしょう。
実質的な影響よりも心理的な影響の方が大きいのです。
ですから、実際に事が起こったら、
アメリカの影響は一時的なものだと私は見ています。
肺炎になると思ったら、
風邪をこじらせたくらいで
すんでしまうのではないでしょうか。
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