第323回
メーカーも本社と工場を切り離す動き

日本國中の大メーカーが
工場を海外に移しにかかっています。
少し前までは関税の障壁を乗りこえるのが目的でしたが、
いまは自国で販売する分も、
中国や東南アジアの各地域で生産した方が
安上がりなことがはっきりしてきたので、
ブーメラン現象が当たり前になってしまいました。

一番効率の上がっているのが、中国、
賃金が安いという点ではベトナムや
北朝鮮やミャンマーの方が有利ですが、
それぞれカントリーリスクがあって
海外からの投資が思うように進んでいません。
その点、中国の工業化は大へんなスピードで進行しており、
十年前に私が北京や上海を訪れた頃は土地の人から
「カラー・テレビを一台もってきてくれませんか。
 代金はちゃんと払いますから。」
とせがまれたものですが、
いまでは一番大量生産をしている中国のテレビ・メーカーは
何と一年に八百万台もつくるようになっています。

日本の二十分の一の人件費で何万人もかかって
八百万台もつくったら、
日本のテレビ・メーカーでコスト的にかなう会社は
一軒もありませんね。
ソニーでも、松下でもそのことはよくわかっていますから、
質で勝負できるものに搾っていますが、
かつての日本と同じように
先進国のコピーからはじまった生産でも、
要領を覚えると、たちまち品質的に近づいてしまいます。

こうなると、
日本は生産技術と特殊のパーツを提供してつくった製品を
買い上げる側にまわるか、
現地企業と競争できるまで
コストを引き下げ現地生産するか、
二つに一つを選ぶよりほかありません。
どっちを選ぶにしても
進出企業のコストを本社に右へならえをされると困るので
現地に進出した生産工場と本社の関係をなんとか
断ち切る方法はないかと懸命になっています。
世間では離婚がハヤっていますが、
企業でも協議離婚もしくは
見せかけの離婚がハヤリはじめました。

これも時代なんでしょうね。


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2001年1月27日(土)

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