第319回
日本企業の人事の失敗その1

一頃の香港は日本人の観光客が押し寄せただけでなく、
日本の企業もドッとなだれ込みました。
バブルでお金の溢れた日本の企業が海外進出を試み、
銀行や証券会社はアメリカ以外は、
ヨーロッパならロンドン、
アジアなら香港を目指したからです。
地方銀行や小さな証券会社まで香港にオフィスをつくり、
誰を相手に商売をするのだろうかと
いぶかったことがあります。

結局、何もしないうちにブームが終わり、
一社また一社と店じまいをして
日本に引き揚げてしまいました。
将来のことを考えたら、
アメリカやヨーロッパよりアジアだから、
香港に根拠地をおいても悪くないと私は思いましたが、
マーケットを見据えて進出するよりは
本社のお金の都合で出たり退いたりするのですから、
もう一度、改めて出なおすぐらいが
ちょうどいいのかも知れません。
日本企業の海外進出は
はっきりとした信念のもとで決められるのは
少ないようです。

それに比べれば、若い人たちの海外進出の方が
実情に合っているし、堅実でもあります。
若い人の海外進出とは出稼ぎのことではありません。
最初は留学です。
日本の大学を出てからの留学もありますが、
大学中退しての留学もあれば、
高卒あるいはそれ以前からの留学もあります。
もちろん、手を焼いた親にせかされて
外国に追い立てられたならず者もあります。
あとになって考えれば、その多くが
グローバル化時代の失業者です。

ところが、日本の企業は
そうした人材を受け入れるどころか、
拒否反応を示しました。
サラリーマン予備校の卒業生だけを採用し、
外国で勉強した若者は異物として排除したんです。
この失敗が日本企業の国際化を遅らせ、
外国進出を遅らせる大きな障害になってしまったのです。
日本の企業は地図も読めず、
道も知らない運転手に日本製の車を運転させて
外国の道を走らせようとしたのですね。
明らかに人事の大きな失敗ですね。


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2001年1月23日(火)

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