第309回
怠け心のお手伝いをしましょう

人間は誰でも怠けたいという気持ちを持っています。
しかし、同じ怠けるにしても要領のいい怠け方と
要領の悪い怠け方があります。
要領の悪い人は手を抜くことだけ考えます。
3回拭かなければならないところを
1回ですませようとか、誰も見ていないから
今日は省略してしまえとか、
これは人に使われている人のよくやることですね。

しかし、手抜きは必ずいつかは見破れられてしまいます。
よく手抜き工事が問題になりますが、
一番ひどい例は一昨年、
台湾の南投というところで大地震がありました。
倒壊したビルの折れたコンクリートの柱を見ると、
中に空の石油カンが詰まっていて
鉄筋もコンクリートも入っていなかったのです。
業者が検査官とうまく結託して
建築費を節約してしまったんですね。
手抜き工事がバレて、設計者まで
海外渡航をさしとめられましたが、
それで死者が生き返ってくるわけではありません。

同じ手抜きでも要領のいい人は
3回かかるところをどうやったら1回で
同じ効果をあげることができるか考えます。
電気掃除機も電気皿洗機も、
あるいは、フォークリフトや自動包装機も、
労力を節約したい一心から発明され、改良されて、
今日のような形で普及したものです。

その最も原始的な形が洗濯板です。
日本ではもう姿を消してしまいましたが、
フィリピンに行くと、洗濯板もなくて多くの人が
小川の中で丸洗いをしています。
現地に行った日本人が思いついて、
洗濯板を普及させる運動を起したら、
その便利さが大歓迎を受けて
たちまち猛烈なスピードで普及したそうです。

なるほど板1枚はミゾを入れただけのことで、
お金もさしてかからないし、
壊れるまで何回でもくりかえし使えるのですから、
これなら普及しますね。
これは便利だというものは、
大抵が怠けたい人に役立つものなんです。
上手に怠ける工夫をしたら、お金儲けにもつながります。


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2001年1月13日(土)

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