第305回
メイド・イン・ジャパンはもうありません
いまはIT関係が花盛りだし、
求人も多いからIT関係に移動する人も多いでしょう。
若いうちはつぶしがききますから、
文学部出身でも、芸術学部出身でも、
パソコンを使った職業に就くのは
難しいことではありません。
医学部出て小説家になる人だってあるんですから、
その気になれば何だってできますよ。
でもハヤリのことだけ追っかけるのが人生ではありません。
またハヤリも1つや2つだけではありません。
世間がハヤリと見ていないものでも、
それなりに魅力があって心をひかれるものであれば、
自分にとっては一生を賭けてもよい仕事になります。
若い時はそれが何であるかわからないから、
色々と経験した方がいいですよと言っているのです。
いま私たちの立っている経済的な地盤に
大きなゆさぶりをかけているのは、
電話やインターネットのような情報技術のほかに、
生産から販売、サービスのすべてを含めて
経済のグローバル化が進行していることです。
モノもカネもヒトも国境をこえて
行ったり来たりするようになったので
自分の生活している周囲のことだけ考えて
仕事をしているわけには行かなくなったのです。
日本人の食べる物だって、お米以外は
ほとんど外国から供給されています。
もっとも日本的だと思われているおそば屋さんに入っても、
原料になっているそば粉は国内産を除けば、
南米あたりから来ているし、
だしに使っている鰹節は
太平洋の向こうまでとりに行っているし、
醤油の原料になっている大豆はアメリカ産が大部分です。
ざるそばを盛っている竹ざるも
ついこの間までは台湾製でしたが、
いまではほとんどが中国製です。
割箸だって中国から来ています。
でもメイド・イン・ジャパンには
まだそばを運んでくれる女の人がいますと
おっしゃるかも知れませんが、
この頃はサンパウロの人もあれば、
フィリピンの人もいるようになりました。
海の向こうからモノもヒトも来るようになりましたが、
カネだけはこちらから出かけはじめました。
カネが動くと、ヒトもそれについて
外国へでかけるようになるのです。
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