第304回
経験と知識のための転職のすすめ

日本では1つの会社に就職すると、
定年になるまでずっと勤める習慣が長く続きました。
そのおかげで日本の会社は社員の忠誠心に支えられて
大きく成長するチャンスに恵まれました。
そういった日本的経営に対して批判的な見方もありますが、
物事はすべて一長一短ありますから、
私はその長所を高く評価しています。

しかし、大会社に勤めている人を見ると、
同じ会社の中の1つの部署に長く配属されていて、
ほかのことを覚えるチャンスがないので、
勉強不足になってしまいますね。
同じ会社の中にいても、工場の現場で働きはじめたら、
ずっと現場を転々とするだけで、
販売に異動することもないし、
ましてや人事や財務の経験をすることもありません。

こういう人が中年になって、
リストラの対象になり転職を迫られると、
再就職の面接に行って
「いままでどんなことをやりましたか?」
ときかれてたちまち返事に窮してしまいます。
何十年も勤務をした割りには知識も経験も限られていて、
別のことをやろうにもつぶしがきかないんです。
ずっとやってきたことが
専門知識か熟練度を要するものであれば
他に真似ができませんから却って使い途があります。
ところが、そうでないことが多いと、
再就職の道もふさがれてしまいます。

そういう目にあわされるくらいなら、
むしろ次から次へと転職をして
違った業界で違った経験をした人の方が役に立ちます。
私が人を採用する場合でも、
学校卒業して十何年も1つ会社に勤めた人は
辛抱強く働くから辞められない安心感はありますが、
世間知らずじゃないかなと心配になります。
そんな人よりも理由があって仕事を変えた人の方が
鍛えようによっては
ちゃんと役に立つようになるのではないかと
それなりの評価をします。
ですから若い人がちゃんとした理由があって転職をするのは
いいことだと思います。
そうは言っても会う度に
名刺に刷られている職業が変わっていたのでは、
どこの会社の人だったか思い出すのにも苦労しますからね。


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2001年1月8日(月)

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