第301回
長い行列のうしろに並ぶな
いつの世の中にもその時代のハヤリスタリがあります。
職業だってその時代に人気のある職業と
人気のない職業があります。
いま一番人気のあるのは
何と言っても半導体関係の技術者でしょう。
卒業する前から引っ張り凧で、
国内だけでは間に合わないので、
よその国まで引っこ抜きに行っているくらいですから。
でもそういう風潮が続けば、
多くの人がその方向を目指しますから、
そのうちにきっと飽和状態になってしまいます。
中国にこんな笑い話があります。
或るパーティーに出かけて行ったら、
恐妻家の人はこちらに並んで下さい。
恐妻家でない人はそっちに並んで下さいと
立札がしてありました。
見ると来る人来る人、みな恐妻家の列に並んでいます。
恐妻家でない列には誰も並ぶ人がおりません。
それを見て、1人だけ
恐妻家でない列に並ぶ人がおりました。
家に帰って本人がその話を奥さんにしたら、
「あなたは私が恐くないんですか」
と奥さんがこわい顔をしました。
「だってお前が人のたくさん集まる所には
行くなと言ったじゃないか」
と亭主はふるえながら答えたそうです。
世の中の人間の心理なんてみな似たり寄ったりです。
反射神経の通りに行動したら、
みんなコンピューターのエンジニアを
志すことになってしまいます。
でもみんなの集まるところに行くなという
超恐妻家の奥さんの言い分の方が正しいのです。
それぞれの分野で成功をおさめたり、
一家をなしている人物は大抵、
人の通らない孤独な道を選んでいます。
株の買い方だって同じです。
人気づいた銘柄にはいくらでも買いが入りますが、
すぐ天井をつけてしまいます。
うっかりすると高値をつかまされて大損をさせられます。
そんな株を買うくらいなら、
もっとよく研究をして、人の気のつかない銘柄を探して
辛抱強く待った方がいいのです。
「人の行く裏に道あり花の山」
と株の世界では言っていますが、
日経新聞の「私の履歴書」を見ていても
そういう印象は深いですね。
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