第253回
異国間の新しい接点を探せ
やっぱりファッション・ビジネスには
若さから溢れ出るパワーとセンスが必要ですね。
私はユニクロやしまむらの動きを見ていて、
衣料品の加工は全面的に
中国大陸に大移動をすると考えるようになり、
昨日も上海の大きな紳士物の縫製工場を
2軒見学に行ってきました。
1社は国営事業で4千名も従業員を抱えていて、
私が見ると、半分の人数で間に合いますが、
失業問題のきびしい時ですから、
国のために失業救済の手伝いをしているのでしょう。
それでも董手長(取締役会長)が46才で
役員はみなそれより若く、
テキパキと仕事をしていました。
日本からの委託加工も引き受けていて、
売上げ13億人民元で1割の利益を計上していますから、
国営事業の中でも出色の業績と言ってよいでしょう。
もう1社は温州の本社工場のほかに上海に進出して
最新鋭の工場を建てたばかりで、
日に1つのラインで600着を300人で仕上げていましたから、
日本と生産性ではほとんど変わりません。
地方から集団就職の女工さんを集めてきて
全部寮に住まわせ、
日本の20分の1の賃金で働いてもらっています。
これでは日本がかなうわけがありません。
ドイツ、イタリア、日本の最新設備を揃えて、
それを27才の工場長が先頭に立って
号令をかけていました。
私は縫製のような手間ヒマを必要とする加工業は
ほとんどが中国大陸に移ってしまうと見ています。
しかし、ファッション産業は
センスが決定する商売ですから、
何を売るかという企画とか、
どんなデザインが売れるかという選択は
時代の先端を行く人の出番であることに変わりはありませんから、
その人たちまで生産拠点に縛られる必要はありません。
経営者やデザイナーと工場との間は
ITの新しい技術が結びつけてくれます。
そういう橋渡しがうまくできれば、
地球を股にかけたニュー・ビジネスがはじまると思います。
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