第254回
“新・メシの食える経済学”が出ました
『メシの食える経済学』という本を
グラフ社という出版社から出したのは
いまから16年前の1984年のことでした。
私がそれまで書いてきた
お金に対する論文やエッセイを集大成したもので、
一言でいえば、この1冊で私の考え方が
よいも悪いもわかってしまうという本でした。
「どういうタイトルにしましょうか」
とグラフ社の社長さんからきかれて、とっさに
「『メシの食える経済学』ではどうですか」
と答えたら、出版社の皆さんがすぐに賛成してくれました。
文士の書く金儲けの本は、
文壇の人からも賛成されませんでしたが、
学者や経済のエキスパートたちからも
白い眼で見られました。
でも私は挫けませんでした。
従来の経済書とどこが違うかというと、
私の考え方は実践的でその通りやったら、
大金持ちにはなれないかも知れないが、
中金持ちか、小金持ちくらいにはなると
かねてから自信を持っていたからです。
そのタイトルをグラフ社の社長さんが
日販の重役さんに伝えたら、
「タイトルだけで10万冊ですね」
と言われたそうです。
はたして売り出されると、すぐ10万冊になったのには
こちらもびっくりしてしまいました。
以後、私のロング・セラーズの1冊として
長く版を重ねましたが、
最近のこと、編集者から再販をしたいと話がありました。
私は
「10何年もたったことだし、
その間にバブルとバブルの崩壊があって
経済環境がすっかり変わってしまいましたから、
いっそのこと最初からやりなおして、
いまの時代に合った形に再編集したらどうですか」
と提案しました。
そうした経緯をたどってできたのが
「新・メシの食える経済学」です。
お金についての法則には
古今を通じて不易のものもありますが、
時代が変わるとそれにつれて変わる面もあります。
それに合わせた頭の切り変えは私自身にも必要だし、
また皆さんも要求しています。
「新・メシの食える経済学」は
いま本屋の店頭に並んでいます。
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