第203回
味より雰囲気を食べる時代になった

食事をするのに、行きつけの店に行くと、
顔もきくし、大事にもされます。
ですから、つい馴染みの店に足を向けてしまいますが、
私はそれではいけないと自分を戒めています。

飲食の業界は栄枯盛衰の激しいところで、
知らないうちにドンドン淘汰がすすみます。
いつも同じ店に行っていると、
飲食の世界でどんな変化が起っているか
わからなくなってしまいます。
そういうことも考慮に入れて
ふだんから3回に1回は
行ったことのない新しい店に行くように心がけています。

日本はバブルがはじけるとともに、
社用族がいなくなってしまい、
社用族相手の高級料亭やクラブ、バーの類は
次々と姿を消してしまいました。
友達同志で一杯飲みに行く店か、
それとも家族連れで行くレストランだけが
生き残りましたが、いずれも税金を引いた
あとのサラリーの中から支払われる勘定ですから、
高すぎては誰もふりむいてはくれません。
飲み食いの単価は共通して引き下げられました。

次はレストランの内容です。
安くてもまずければ誰も寄りつきませんが、
味はほどほどで雰囲気を食べさせることに
重点をおいた店が繁盛しているようです。
若い人がマクドナルドとか、ミスター・ドーナッツとか、
アメリカン・ライフのなかで育ったせいでしょうか、
味にはこだわらない人が多いので、
味の追求をする店よりも、
客を集めることに主眼をおいた飲食店経営が
多くなってしまいました。

それはそれで商売として成り立っていますから、
文句はつけられませんが、
私のように美味の追求に
生き甲斐を感じている人間にとっては
だんだん旗色が悪くなっています。
それでも味のわかる少数派のために、
せっせと諸外国に出て腕を磨いて帰ってくる若い青年は
跡を絶ちません。
料理の味だけでなく、最近はワインの勉強のために
フランスの一流レストランでソムリエの修行をしている
日本人の青年によく出会います。
ビールが日本人の飲物になったように、
そのうちにワインも日本人の飲物として
定着することになるでしょう。


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