第135回
日本は発展途上国のカガミです
日本がまだ貧乏国だった頃、
日本人は工業生産をはじめ、
つくった製品を外国に売ろうとしました。
外国からバイヤーという人たちが日本にやってきて、
ミシンやカメラや腕時計のサンプルを見せて、
「これと同じ物を半額でつくってくれないか。
つくってくれればこれだけの量を買います」
と注文をくれました。
日本人はそれに応じました。
安かろう、悪かろうと悪口を言われましたが、
それ以外にメシを食って行く方法がなかったし、
工夫をすれば、何とか相手の要求を
充たすことができたからです。
お金を払ってくれる人がいなければ
商売は成り立ちませんが、
お金を払ってくれる人さえおれば、
何とかその欲求に応じて行けるものなんです。
あの時、お金を払ってくれるお客は
みな金持ちに見えました。
日本人はまだ貧乏でしたから、
日本人がつくる製品を買うだけの能力がなく、
したがって日本人のお客ではありませんでした。
ところが、しばらくすると様子が一変しました。
輸出をして商売が成り立つようになると、
サラリーもふえるし、
ボーナスももらえるようになります。
すると、そのお金できれいな服を買ったり、
お化粧をしたり、しまいには、
洗濯機や冷蔵庫のような家電製品も
買うようになりました。
毎年増える収入が新しい購買力になって、
日本人のつくった物を
日本人が買えるようになるんですね。
気がついてみたら、貧乏だった筈の日本人が
金持ちの日本人になり、外国の有名ブランドからさえ
もっとも有望な市場として狙われるようになっています。
ですからお金を持っている人だけが
お客であると考えてはいけません。
お金を生み出す能力のある人は
すべて未来のお客なんです。
日本人自身が一番いい例です。
それなのに、自分たちの辿ってきた足跡を忘れて
発展途上国の市場をバカにする人をよく見かけますね。
世界中が日本をお手本にして走っているんですから、
お間違いのないように。
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