第34回
税金は安い方がいいのです
日本は先進国の中に数えられているようですが、
税金の高いことでもトップの部類に属しますね。
個人所得の最高税率はいまでも国税が50%、
地方税が15%、あわせて65%になります。
私が「ゼイキン報告」を書いた頃は
75%と18%で、
100円儲けても93円が税金でした。
松下幸之助さんが、年収10億円で
日本一の高額所得者になった時、
10億円というと天文学的数字にきこえましたが、
そのうち税金に払うお金は9億円で、
松下さんの手取りは1億円しかありませんでした。
松下さんは記者のインタビューに対して、
「私は10億円稼いで9億円税金を
払っているというよりも、
国のために10億円を稼いできたから、
ごほうびとして1億円あげる
と言われている感じです」
と答えていました。
その頃に比べれば、
いまは少しは改善されていますが、
それでも65%は高いですよね。
貧乏人は金持ちを羨ましがると同時に
嫉妬するところがありますから、
金持ちが税金をたくさん負担するのは当然だ、
金持ちからもっととってやれ、
と平気で言いました。
左翼系の学者の先生や労働組合の幹部の人の中には
平気でそういう放言をする人がありました。
そういう嫉妬心の上に築かれたのが
日本の税制と言ってよいでしょうね。
お隣りの家の屋根が黄金の瓦でできていても、
自分の家の屋根が雨漏りするわけではありません。
でもお隣りの屋根が黄金でできているのが
腹立たしいから、あの屋根をこわしてやれというのが
税制を立案した人々の潜在心理です。
でも、みんなが金持ちになると
そんなことを言っておられなくなります。
中から上の所得層が、
累進税制の高税率にひっかかってしまうからです。
税金は高いよりも安い方がいいにきまっています。
そのためには経費のかからない
小さな政府がいいんです。
でも、すぐそのことを忘れて政府は
また税金を増やしにかかります。
そろそろまた増税の季節が近づいてきましたね。
(つづく)
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