第35回
子供の名前で貯金をしていますか
どこの親でも子供の名前で貯金をしたがります。
まだ幼稚園か小学校に行っている子供の名前で
郵便局に口座を開いたり、銀行に定期預金をしたりします。
ところが、日本には贈与税という税制があって
年に60万円以上の贈与をすると、
超えた分に対して累進税率で
最高70%まで課税する規定があります。
奥さん名義で家を買ったりしても、
この規定にひっかかることがありますが、
長く連れ添った配偶者には
特別の優遇制度が適用されます。
それ以外の人に金品財産を贈る場合は、
自分の子供も含めて
この規定にひっかかってしまうのです。
この規定の適用を免れるために、
税法の専門家たちは、一年に60万円ずつ
贈与すればよいとすすめておりました。
しかし、非課税の範囲内であることを
証明するためには、貯金通帳など
きちんとした証拠を残しておかなければなりません。
そうするとお金の使い途が
どうしても制限されてしまいます。
はじめて株をやった頃、私は配当金を
免税にしてもらうために家族の名前を
使えばよいと証券会社の人に教わりました。
その通りにして配当金をもらったら、
或る日、税務署から呼び出しを受けました。
「子供さんの名前をお使いになっておられますね。
一年に60万円を超えた分に税金がかかりますから、
税金を払いたくなかったら、
ご自分の名前に戻して下さい」
「もし子供の名前にしておいたら、
どうなりますか?」と私はききかえしました。
「その場合には税金を払っていただきます」
「うちの子供たちの場合だと
いくらになりますか?時価は買った時の
3倍になっていますが・・・」
税務署の計算によると、
3人の子供が各自25000円で、
私は75000円ほど税金を払いました。
自分の名前に戻したら勘弁してやると
言っているのにと税務署の人はとても
けげんな顔をしましたが、
私に税金の領収書を書きながら、
「どんな株を買えばいいですかね」
と小さな声できいたので、
私は思わず笑い出してしまいました。
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