第25回
株は倍になったら半分売れ

長い間、凍結状態に置かれていた株が
やっと売れる状態になって、
『売るとあとが高い』という経験をした人は
たくさんいると思います。
一見すると、長い冬をじっと辛抱できた人が
なぜ春になるとそんなに脆いのかと
不思議に思うかも知れませんが、
よく考えて見ると、冬を辛抱した人々も
冬に強かったわけではないのです。

買った株が買値を割ると、売れば損になります。
どんなお金持ちの人でも損をすることは、
極端に嫌います。だからじっと辛抱していたのです。
売るに売れなかっただけのことで、
自分の意志で辛抱したわけではないのです。

ところが、株価が自分の買値より上にいくと
座敷牢から出されたようなものです。
家の中に閉じこもっているか、
それとも野外に出るかは自分の意志できめられます。
その途端に株を売ったとすれば、
もともと縁のない株と一緒に
牢屋の中に入っていただけのことで、
どちらも自由の身になったら、
バイバイをする宿命だったのですね。
それが真相ですから、儲け損なったとしても
それは自分の身から出た錆と思い諦めるよりほかありません。

でもそうしたあえなき別れを避ける方法が
ないわけではありません
持っていた株が倍になった時に、
半分売って半分残す
ようにすればいいのです。
倍になって半分売れば、元手はかえってきます。
残りはタダですから、
その後いくら下がっても損をすることはありません。
一度は一緒になろうと思った相手ですから、
たとえ才色衰えてもそう邪魔にはならないでしょう。
それだけの仏心があったら
相手だって心憎からず思ってくれるものです。

株は売ったあとが必らず高いといいますから
半分手元に残しておいた株が
その恩恵に浴させてくれます。
そう思って600円で買った野村の株を
1200円で半分売って、
タダになった株を6000円になるまで
持っていたことがあります。
それでも売らなかったら、
2000円まで下がってしまいました。  
何年か前に、日本の株の先行きを悲観して
持株を全部売る時についでに売ってしまいましたが、
別に後悔はしていません。どうせタダの株ですから。





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