第9回
少林寺の武術師範が教えてくれます
少林寺に行ったことのない人でも
少林寺の名前くらいは知っているでしょう。
少林寺は河南省の省都鄭州と洛陽の中間くらいにある
嵩山(すうざん)というところに
いまから1500年前の北魏の時代に建てられた
禅宗の総本山です。唐の時代になると武術が盛んになり、
今日、中国全土はもとよりのこと
アジア中にその名を知られた
少林寺拳法が確立されています。
あまりに有名になりすぎたので、
少林寺の名前を使った商品が氾濫しています。
少林酔白酒という酒、少林春肉食店という肉屋、
小林補身薬という元気の出る薬、
少林汽車というブランドの自動車、
小林防盗門という防犯ドア、
少林三鮮麺というラーメン等々。
なかでも少林寺の釈永信管長を怒らせたのは
少林牌火腿腸というブランドのハム・ソーセージで、
2年前少林寺に訴訟をおこされて敗訴しています。
釈方丈が怒ったのは、少林寺はもともと禅寺で、
和尚さんたちは専ら精進料理を食べ、
ナマグサは一切口にしないのに、
いくら何でもこれはひどすぎると思ったからです。
その少林寺も
寺の周辺に雨後の筍のようにできてきた
武術学校や武術協会はさすがに禁じようがないようです。
NHKのテレビでも取材していましたが、
1つの学校で6000名もの生徒を擁している
スケールの大きなものもあります。
月に300元の学費は親たちにとっても大へんな出費ですが、
女の子まで含めて全国から志望者が集まってくるのは、
少林寺の拳法にあこがれる人が
多いということもありますが、
ここで武術をおさめると
就職に困らないからだそうです。
少林寺で勉強したというと、
警察がすぐに採用するのだそうです。
私も少林寺に行って武術をやっている
現場を見たことがありますが、
その時はそれを老齢化社会の健康法として
取り入れることを思いつきませんでした。
思いつくまでに時間がかかりましたが、
少林寺の武術師範が東京で
私のような年の人でもできる拳法を
教えてくれることになったのです。
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