第30回
お金を貯めるには、結婚した最初が肝心
奥さんがしっかりしていても、
やっぱり、結婚するまえに金銭を扱う環境にいた女性と、
そうでない女性とは違うようです。
たとえば、商家で育つと、子どものころから、
お金を扱うのに慣れている。
また、商品をーつ売ってこれだけ儲かる
というような経済感覚が身についてますから、
サラリーマンの奥さんになっても、
しっかり家計を守ることができるわけです。
なまじお見合いで、にわか成金の娘さんと結婚したりすると、
そうはいきません。
亭主の給料がはいると、好きなものをパッパと買ってしまう。
給料日まえに足りなくなると、
実家の母親に電話して送金してもらう。
それで生活ができれば、いっこうにかまわないんですが、
あればあるだけ使うクセがついているから、
絶対といっていいほど、お金は貯まりません。
べつににわか成金の娘じゃなくても、
金銭感覚がゼロで、家計管理が苦手な奥さんもいます。
いまは、サラリーマンといえども生活のレベルが上がっていますから、
子どもたちは、ほとんど金銭的な苦労を知らないで育てられる。
女の子でしたら、何不自由なく短大を出て、
腰かけがわりに就職すると、給料はそっくり自分で使うことができます。
貯金はするけれど、ちょっと貯まると、海外旅行をしたり、
何十万円もする毛皮のコートをポンと買ったりする。
主婦の感覚とはまた違ったお金の使い方です。
しかし、女性が腰かけでもなんでも、
勤めに出ることはいいことです。
自分で働いてもらったお金を自分で使うわけですから、
男の人と共通の立場に立つことができます。
花嫁修業のために親から小づかいをせびるよりは、
多少なりとも世間のことがわかってきます。
やっぱり、内助の功ということでいえば、
結婚した最初がだいじだと思うんです。
すこしずつやりくりして、一年か二年で、
百万円の貯金ができるかどうかで、
その夫婦の財産づくりは決まりです。
それができる奥さんは、よほどの事態でも起こらないかぎり、
百万円全部を使うことはありえません。
むしろ、もっとふやすにはどうしたらいいかを考える。
ある額を超えると、今度はふやす楽しみが出てくるんです。
その線に沿って、 ご主人にもできるだけ協力してもらうようになるわけです。
こういう夫婦は強いですね。
四十代にはいって、いろいろお金が必要になってもビクともしません。
同年配の奥さんが、息子の入学金をどうしようとあたふたしているとき、
澄ましていられます。
この差は”二十代後半から三十代初めのころに決まる”と考えていいと思います。
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