第20回
二十代で儲けたお金は、ほとんど残らなかった
二十代の前半から倹約を心がけていれば、
それだけたくさんお金も貯まりそうなんですが、
残念ながら、二十代で貯めたお金は残らないことが多いんです。
私自身を振り返っても、
二十代で金儲けの大きなチャンスにめぐまれ、
大の男が一生かかってもつくれないような
お金にめぐまれたことがあります。
人から二十代で貯めたお金は残らないと
聞かされていた私は”例外”になろうと考えました。
収入があるとつい気が大きくなって、浪費をしてしまう。
だから、お金が儲かっているときに倹約すれば、
お金が残らない道理がない、
そう考えて、事実、自分の収入の十分の一で暮らしたのです。
十分の一といっても、かなりの収入を得ていたからできたことですが、
それでも二十代の若者としては殊勝な考え方だったと思います。
「これなら、かならず財産家になれる」と思ったのですが、
結局、例外にはなれなかった。
二十代というのは、何もかもがはじめての体験なわけです。
ちょうど、子どもを産んで育てるのと同じですね。
すべて暗中模索なんです。
そんな時期に、金儲けのチャンスにめぐまれると、
つい、それがいつまでもつづくという錯覚に陥ってしまう。
四十代、五十代ではじめてつかんだチャンスなら、
こんなチャンスはめったにないと考えるんですが。
この調子なら、あと十年もすれば大財産家になれると
あれこれ手を広げていった。
一つの成功に慢心したツケが回ったんでしょう。
二年もしないうちに、それまで倹約して貯めたお金も
大半はなくなってしまった。
それでも、三階建ての家が一軒、香港に残ったんですから、
上出来だと言っていいのかもしれません。
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