第303回
日本の牛肉が食べたい
日本の美味しい牛肉は、
酪農国のデンマーク人が食べても大変美味しいようです。
日本の写真現像機の会社の和歌山の本社に、
デンマーク人のセールスマンや社長達が出張しました。
彼等の宿泊したところは丘の上にある本社の建物でした。
「ヒロ。あんな綺麗なホテルは見たことないよ!」
と、セールスマンが言います。
私も行ったことがありますが、
建物の真ん中を渓流が流れ、建物は豪華絢爛で、
周囲の手入れも完璧でした。
私達が行った時は、
見た目には雑草などまったく見えない道路脇の芝生を、
まだ丁寧にむしっている人々がいました。
ホテルではなくてゲストのための施設のようです。
確かに”こんなにまでする必要があるのか”と思うほど完璧でした。
彼等は工場や新製品を見た後で、
車に乗って皆で遠くまで食事に連れて行かれたそうです。
「ヒロ。あんな旨い牛肉を食べたことがないよ!」
と、セールスマンは思い出して一層興奮していました。
三重県まで飛ばして、松坂肉の有名店に行ったようでした。
彼等デンマーク人一行は翌日の夕御飯の時間に、
「今日は何が食べたいですか?」と聞かれたので、即座に
「昨日の牛肉が食べたいです」と、答えたそうです。
「でも、私達は連れて行ってもらえなかったよ」
とセールスマンは笑いながら言いました。
例によって、はっきりした理由は説明してもらえなかったようです。
私が
「それは高いからでしょう。
日本のそういう店の牛肉はデンマークの10倍はします」
と、言ったら、目を丸くして驚いていました。
いきなり食べに行こうとしても場所が無かったのかもしれません。
|