第279回
日本と違う職人気質
私の姪がロンドンに1、2年住むことになって
遊びに行ったことがあります。
その彼女達夫婦に聞くと、イギリスは思い描いてきた像と、
住んで見た時では落差が激しいのでした。
立派な一軒屋を借りていたのですが、
ほとんどの窓にガタがきていて、
秋になると隙間風が入って寒いのでした。
大家さんも知っていて、直してくれることになっていたそうです。
ところが、そのまま何ヶ月もたった、
ある寒い冬の日に職人さんがやってきて
「窓を全部取り替えます」と言います。
その時やらないと、
今度はまたいつになるか見当がつかないとのことでした。
小さな2人の子供を含めた一家4人は、
吹きさらしの家にすむことになりました。
そのイギリス人がビックリするのが、
プロヴァンスの職人だそうです。
フランス人ムリエルの両親が住んでいるプロヴァンス地方は、
イギリス人の憧れの土地です。
「プロヴァンスは本当に素晴らしい所だ。
フランス人がいなければね」
と、言うぐらいに、この南フランスの土地が好きだそうです。
たくさんのイギリス人が住んでいて、
絵を描いて老後をすごしたりしているそうです。
この地方の職人もなかなか来てくれないことで有名になりました。
真夏に二日がかりで
新品のセントラルヒーティングのテストをする様子を、
イギリス人ピ−ター・メイルが描いています。
また、職人は必ず良いアイデアを持っていて、
依頼主の注文より手間とお金のかかる方式を勧めます。
ムリエルの両親の新築の家は、配管で余計な仕事を勧められました。
一方、手抜きで壁のセメントが、数年ではがれました。
ムリエルのお母さんは、
ムリエルの同級生になったその職人の子供だけは、
決して家によばないのでした。
ムリエルの両親は、
お金が予算をオーバーして心細い思いをしましたが、
同じような話を良く聞きます。。
ムリエルの両親達は、
その頃ブリタニア地方から引っ越してきたばかりでした。
「コネがあるか、せめて顔なじみでないと話が進まない所です」
とムリエルも語っています。
デンマークでは自動車の整備や修理の仕事が、
”てなもんや”仕上げが多いとよく聞きます。
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