前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第192回
世界に貢献する日本企業

日本は昔、工場のオート化をアメリカに学びましたが、
アメリカはLEAN(余計なものを削る方式)を
日本のトヨタから学びました。
ヨーロッパにもトヨタ式合理化の波がやってきました。
デンマークにダンフォスという化学工業の会社があります。
そこの工場は13億円かけてトヨタのLEAN方式を取り入れ、
仕事の効率を25%上げました。
このように企業は世界との競争で、絶えず向上の努力をしています。

ところが親方日の丸・・・ではなくて親方赤地に白十字の元で、
デンマークの国立施設はのんびりしていました。
しかし、このLEAN方式を
コペンハーゲンの北の地方病院が取り入れたところ、
非常に即効性がありました。
今まで、CT―スキャンの部門がネックとなっていましたが、
ここでは35%の時間節約に成功しました。
この成功で、今では北コペンハーゲンの全ての公立病院に、
トヨタシステムが取り入れられました。
そして、同じような成功がありました。
このシステムを取り入れる前は、スキャンを例にあげると
―家庭医からの紹介の記録、患者へ連絡、病院の予約、
患者の来院日報告、ITシステム、待ち時間、スキャン、診察・・・
と、35段階のプロセスがあったそうです。
ここで、医者の紹介状が10〜15枚溜まったら初めて病院に送る、
ということをやっていました。
暇な時には患者は来ないで、
ドンドン紹介状が溜まって忙しい時に、
固まって病院に送られていたのです。
時間との争いの病気なのに、あきれた対応です。
これを改善して、ひとつでも来たらすぐ病院に送るようにしました。
こういう具合にして、過程を21段階に減らすことに成功しました。

こういうのんびりした感じは、
私もコペンハーゲンの知的障害者の施設で2年ほど働いたので、
思い当たります。
働く人がゆっくりと働きやすいように、
しかし確実に、周囲には親切に、ということで、
能率は一人一人の意識にあまりないようです。
LEANのポイントは、このような合理化をしても
「仕事が忙しくなる」ということもなく、
時間の短縮ができることです。
デンマークの病院は人手もお金も足りないと言われます。
しかし、能率をあげれば両方とも解決します。
これからは企業だけでなくて、
多くの部門でトヨタ方式が生かされるでしょう。
米国に続き、中国でも立ち遅れたトヨタですが、
このような形で世界に貢献しています。


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2005年4月11日(月)

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