第190回
金のなる木にはお金がなりますが
デンマークでは現在、お金を借りるのがとにかく簡単で、
利子も低くて30年代の経済危機とやらを思わせる程だそうです。
突然プライベートの投資機関が、
机のうえに現金を積んで企業買収をする記事が載ったりします。
(以上の話もこれ以降も、デンマーク銀行、デンマーク統計局、
ザ・エコノミストの資料を元にしたデンマークの新聞からです)
この出来事は、世界のお札の数が、
この2年間は年間で20%以上の伸びで増えているのが
原因だそうです。
破棄処分されたお札はこの統計でどう扱われているか分りませんが。
お札を刷る権力と印刷機械は、
国家にとって正に「いくらでも金のなる木」ですが、
年20%増加は70年代以来だそうです。
お金が増えている割には「年20%インフレ」の声を聞きません。
デンマークの家のローンは固定利子で現在4%ぐらいですが、
変動性利子がこの4年前からやっと認められて、
記録的な3%以下です。
お金がたくさん出回ると現金の値打ちが下がりますが
「お金が安いとは銀行の利子が低いということだ」
とデンマークの新聞は書いております。
しかし、お金の価値が下がるのは大変なことですが
「現在起こっているのは、新しいタイプのインフレ」で、
商品の値段は上がらず、
不動産と様々な原料の値段が上がっています。
デンマークの場合は特に、マンションの値段の上昇が激しくて、
より広くて庭も付いている、一軒屋の値段の平均に追いつきました。
今、デンマークは株を買う人が増えて、
昨年より19%増えたそうですが、株自体もかなり上がりました。
それらを元に購買力が生まれて、
低い利子は製造業に設備投資を促進して、
良い循環に入ったように見えます。
しかし不動産の値段が97年から
デンマーク50%、USA65%、フランス90%、イギリス147%
と上昇しています。
その理由が「経済の状態からは見出せない」と、
OECDの委員長のデンマーク人、
ニルス・チュコセンは心配しています。
彼はグリーン・スパンが誤っているのではないかと恐れていますが、
アメリカ国立銀行長のスパンは
「バブルを止めるのは私の仕事じゃないわい」
と何度も繰り返しております、と、デンマークの新聞にはあります。
それで「ドンドンお札を刷ったらよろし」というのでは、
20年代にドイツがとった政策と同じなのだそうです。
しかし、その時と違ってアメリカの消費物価は、
今のところ激しいインフレではないのです。
中国がドンドン安い価格で生産しているからですね。
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