前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第186回
技術の日本もデザインが大事

デザインで付加価値を作っている、
典型的なデンマークの会社のひとつに
バング&オルフセンがあります。
私も大分以前に、
B&Oの平らで薄いハイファイを買ったことがありますが、
その頃は今ほど高い機器ではありませんでした。
そして、そのB&Oのハイファイは、
デザインは良いけれどデザインの犠牲になったのか、
肝心の音の方に不満がありました。

その後B&Oは品質も上げて高級品に力をいれましたが、
いよいよ昨年から、広州と上海の高級品店街に店を出しています。
上海では「プラザ66」という、
人通りのまばらな高級センター内にあり、
グッチやルイ・ヴィトンなどと同居しているそうです。
センターは空っぽの店も多く、
一見すると“中国で高級品が売れるのかな?”と疑問に思えます。
しかし、B&Oに関する限り、答は「イエス」だそうです。
不安な開店でしたが、嬉しいことに、
1番最初のお客は400万円も買い物をしたということです。
その人通りの少ないセンターで、
去年は期待した以上に売り上げがありました。
売り上げが2億円を越えた昨年の成功で、
B&Oは5年以内に35店を
「世界最大の高級品マーケット」の中国で開く予定です。

コペンハーゲンの地下で時々停まる、
運転手のいないイタリア製の列車は、
先日はドアを開いたままで走りました。
デンマーク国鉄は、
イギリスで電車を走らせるプロジェクトを受け持ちました。
日立は技術力を評価されて、
注文していたイタリアの会社に代わり、
その電車の車両を作ることになりそうです。
技術が格段に進んでいた日立でしたが、1度は注文を逃したのです。
しかし、もし日立のデザインが非常に良かったら、
最初から注文がとれた気がします。
日本に伝統的にあった、ハイセンスが生かされていないようです。
技術に生きる日本も、製造所は新技術開発だけではなくて、
デザインなどのソフトの開発にも死活がかかっています。
日本は2003年あたりから、ポップミュージックや漫画など、
ソフトの輸出がハードの輸出額を越えているそうです。
デザインと高品質のイメージは、今よりいっそう重要になりますが、
漫画やポップのデザインは、日本はすでに世界をリードしています。
なにせデンマークでも、
日本式の漫画を真似して描いて、
お金持ちになる人まで出てきました。
電車のデザインのような、
ハードな製品のソフトの部分も大変重要で、
買う側にとっては非常に魅力となります。


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2005年4月1日(金)

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