第154回
老人に大判振る舞いはいけません
人口が500万人ぐらいのデンマークでは、
国民年金を支給されている人の数は現在70万人です。
この数は年とともに増えて、
2050年には倍に近い130万人になるそうです。大丈夫かなー。
現在の金額は、税金を引かれた後の手取りで10万円弱になります。
一人暮らしの老人に充分とされる生活費は、
住居費とか医療費などは補助が有るので除くと、
月に10万円ぐらいだそうです。
一見、少ないようですが、
私達の生活費も、住居費、旅行などを除くと
1人ではそれぐらいなので、多分暮らすには充分でしょう。
でも、旅行にも行きたいとかで、
国民年金以外の収入が欲しい人は、自分で年金を積み立てたり、
持ち家を買っておいたりします。
デンマークの年金は株式売買でも利子代を稼いでいて、
加入者は個別の銘柄は選べないのですが、
どんな分野にするかは選べます。
つまり投資信託なのですが、これは造船部門とか環境部門とか、
分野を自分で選んで銘柄はお任せのスタイルです。
これは日本の年金や証券会社にも有る制度なのでしょうか?
“心情的に環境に投資したいが、どこを選んだら分らない”とか
“IT関連を買いたいが調べる暇がない”
とかいう人には向いています。
暖かい地方でのんびりするのは北欧の老人の夢ですが、
ある地方自治体の知事は地区の老人全員を、
スペインに招待しました。
長期間のホテル代、飛行機の切符代や介護の大金を、
どうやって捻出したかというと、これが手品のような話でした。
例えば、自治体の浄水設備を民間に売ってお金を造ったのです。
そして、自治体はその会社からサービスを受ける契約をしました。
又、工場地に指定されていない土地を、
工業用地として売り払いました。
そういう場合は国の許可が必要ですが、
事後に何とかするつもりだったようです。
人気者の知事で、他の地区からの見学希望も多かったのですが、
ついにどうにもならなくなって、警察が介入しました。
そのうちに
レストランの勘定書きが異様に高いのにも目を付けられて、
今裁判中です。
ワインが大好きで、年代物の有名な銘柄のワインを、
公費でドンドン空けていたのでした。
公務員の汚職が世界でも最も少ないデンマークなのですが、
こういうこともあるのです。
高税率の福祉社会で汚職をやったら、社会は崩壊します。
デンマークでは一般に、経済の犯罪には非常に厳しいですが、
そのせいでしょうか。
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