第153回
欧州も中国に適応しなければ
この題は今年の1月30日のデンマークの新聞の、
2ページに渡る見出しからとりました。
副題は「中国の発展は西側諸国の利益と一致する」
日本の新聞では中国がダメになる記事が目に付きますが、
デンマークでは、
ダメになるという記事は目にしたことがないのです。
この記事もアメリカのマッキンゼー・レポートを題材にしたもので、
中国のこれからの発展は既成事実である、としての記事でした。
すでに世界の玩具の75%を作っている中国は、
セメントも世界の50%も作っているそうですね。
すでにこんなに発展してしまっているのでは、
玩具もセメントの会社の株も、
買う時期を逃したような気がしてしまいますです。
鉄が世界の25%、携帯電話が29%というのだって多いです。
「2007年には3億人の中国人が中流階級になる」とも、
マッキンゼーは予測しています。
日本は1億総中流ということでしたが、
この予想通りなら中国は2年後に、
なんと3億人の中流のマーケットです。
もっとも1月ほど前には同じ新聞には
「日本経済はまだ中国の4倍もあって、
大きなスケールのマーケット」で
「デンマークが輸出を伸ばす余地は大きい」と、ありました。
今、中国は生活が豊かになってきて、
政府への注文も厳しくなってきているそうです。
その昔、王子製紙という従業員の待遇の非常に良い会社で、
社員が一層の待遇改善を求めてストライキをしました。
日本の新聞はそれを“殿様スト”と呼びましたが、
Qさんはそれを読んで
「それを言うなら“王子様”のストライキだろう」と書きました。
待遇の良い職場ほど、かえってラジカルになるようです。
しかし
「中国の国民は、ロシアの急速な自由化の失敗を目の当たりにして、
国の舵取りにとりあえず満足している」
と、そのデンマークの新聞社の論説委員は書いています。
「アジアはマーケットとしても大きいので、
関税をかけて守ろうとしても、それは我々の害になるばかり」
と、いうわけで
「皆が得するアジアの発展」とは単純には言えませんが、
中国の製品を締め出してそれで済む時代ではないのですね。
締め出せば自分の方に競争力が無くなって、ますます衰えるし
「中国を市場としてみなければヨーロッパの発展も無い」
と言う論旨でした。
一般にデンマークの執筆者は、
よその国に対しては礼儀と敬意を持って、
しかし、執筆者の思った通りを述べるので面白いです。
それと、真面目な話でもユーモアを交えるのも面白いです。
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