前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第116回
2000年・カンボジアの旅

飛行機からカンボジアの飛行場に降りると、物凄い暑さです。
とてつもなく明るくて眩しい空にきれいな空気は、
バンコクとは随分違うのでした。
シャムリップの町に着いてホテルに荷物をおくと、
遺跡となった古い寺を見物に出かけました
そのあたりは100近くも古寺の跡があるそうです。

寺を包むジャングルでは、
金属的な音質の蝉の大合唱が、高い梢から降ってきて
辺りを満たしていました。
安定した大音響は、
インド音楽の永久に鳴り続ける開放絃のようです。
余りにも蝉の数が多いので強弱がなくなり、
同じ調子で鳴り響いているのでした。
巨木は光を求めて空に伸び、明るい空も背の高い木に隠されて、
あたりは穏やかな光に包まれていました。
大きな樹木は美しい遺跡の壁を抱き込むようにして、
硬い板のような根を網状に張っているのでした。

古寺の跡の一つに登ると、
向こうのジャングルの海から頭を突き出した、
古い建物の先端が見えます。
それが宗教上の建物としては世界一大きいという、
美しいアンコール・ワットでした。

シャムリップのトンレサップ湖は、
立方メートルあたりでは世界一魚の数が多い湖だそうです。
私はその魚群を見るのを楽しみにしていたのですが、
上から覗いても水は赤土色にひどく濁っています。
魚どころか鯨がいても見えません。
“水清ければ魚すまず”で
“水濁れば魚影見えず”なのは残念です。
雨季になると湖は何倍にも広がり、あたりは水浸しになり、
湖だか洪水だか分からないことになるそうです。
乾季に穴を掘ってそこに水溜りが出来ると、
魚が湧いてきてびっくりします。
雨季に産み付けた魚の卵が孵化するのだそうです。

両側に赤茶色の“とのこ”のような土を吹き飛ばし、
私達のバスが走ります。
小さな水溜まりから、
少女がバケツで濁った水を掻いているのが目に留まりました。
見ると、傍らにおおきな鯉のような魚が一匹横たわっています。
そんな信じられないような小さな水溜りでも、
今日のおかずが獲れるのでした。


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2004年12月27日(月)

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