前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第16回
王室御用達

またまた怖い顔のお話です。
普通にしていても睨み付けるような
怖い目つきのおばあさんがやって来ました。
置いていったフィルムには、
デンマークの女王が自宅(自城?)で
お客と歓談している写真がいくつも写っていました。
一人で女王を撮り付けて何十年。
後には女王マルガレーテの写真展も開いた、
リグモア・ミュッテスコーでした。

この人は2年以上の間、女王の写真を現像しに来てくれました。
写真の質への注文は煩わしかったけれど
「女王の写真だからどうのこうの」と言われたことは
一度もありませんでした。
この国の王室は非常にリラックスしていて、
女王が自分で街に買い物に行ったりします。
王室のメンバーも、お気に入りのレストランなどに
気のあったお供と数人連れで食事にいきます。
つい最近結婚した皇太子にいたっては
友達と夜の街を飲み歩くのが好きでスポーツが好きで、
ガールフレンドを次々と取り替えるのが趣味のような青年でした。
それでも大学を卒業するまで頑張ったのは
王室ではこの皇太子が初めてだそうです。
今はオーストラリアはタスマニアの大学教授のお嬢さんと
結婚しています。

何年か前のある日の新聞では国会の開会式の席で、
なんと全員が居眠りをしている写真が紙面を飾りました。
テレビにもその場面が映って、
国民のどちらかと言うと好意的な笑いを誘いました。
王室関係のお客はもう一人いました。
近所の建築会社のメッセンジャー・ガールです。
十五、六歳で細くて背が高くて九頭身ぐらいの女の子は
変わった姓でした。
その頃店でアルバイトしていたリンダが見つけたのです。
サインを見ると、名前の後に貴族のタイトルが書いてあるだけで
姓がありませんでした。
それは伯爵の未婚の娘のタイトルで王族だそうです。
王室とその親類は姓が無いのでした。
この娘はただのメッセンジャーですが、
自分のせいでもないのにN君に叱られて「会社に伝えます!」と、
どぎまぎしていました。おっとりした良さそうな子でした。
リグモアは、色々と注文がうるさくて手間がかかりました。
テレビで写真教室をやっていたこともあるし
王室の写真だし、まあ、それは当然か。


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2004年8月9日(月)

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