第1206回
日本人の所得の伸び
1990年以降、バブルが崩壊した後
土地や株式の価格の暴落等により家計資産は減少しています。
日本経済も概して不況に陥っており
家計可処分所得が低迷しています。
将来に対する不安感、雇用不安、
所得への不確実性の増大、預金の安全性に対する不安、
老後の生活、年金不安、介護に対する不安などが貯蓄に拍車をかけ、
消費に結びついていきません。
総務省が発表した2009年12月の完全失業率(季節調整値)は
前月比0.1ポイント低下したものの5.1%と5%を超えています。
年度ベースの完全失業率が2010年度には
2002年度に記録したITバブル崩壊による
過去最悪の5.4%に達する可能性もあります。
アメリカの2009年12月の失業率が10%程度となっています。
多くの先進国および途上国の失業率では
2010年末までに2けたに達する国が
多数出てくるという予測もあります。
日本の企業でも春闘でトヨタ自動車やホンダ、
日立製作所など不況の直撃を受ける自動車と電機の各社は賃上げ、
ベースアップではゼロを回答してきています。
電機では、東芝などが定期昇給の実施延期を組合側に提案するなど、
実質的な賃下げにまで踏み込む動きが相次いでいます。
賃上げどころか企業の存続をかけた綱渡り経営が
特に中小企業では多くなっているでしょう。
このままでは、非正規労働者にとどまらず
日本でも正社員にもリストラの波が及ぶ可能性が出てきています。
お金を保有している層では若者より年配者となっています。
確かに高齢者の平均的な貯蓄率は非常に高くなっています。
ですが、比較的裕福と考えられる
世帯主である高齢者のみのデータをもって
全ての高齢者が高い貯蓄率を維持しているとはいえません。
退職後の高齢者では貯蓄を取り崩して生活している人もいます。
日本で個人金融資産は1,400兆円あるともいわれていますが、
日銀統計以外にアンケートで調べている家計調査では
実際の個人金融資産は572兆円という統計もあり、
こちらだと1,400兆円に比べると半分以下の数字です。
金融資産の分布を見ると
1世帯あたりの平均貯蓄残高は1,700万円程度となっていますが、
平均以下が7割近くを占め、
最も世帯数の多いのは200万円以下の階層になっています。
逆に4000万円以上の貯蓄を持つ世帯は全体の10%ですが、
こちらの貯蓄の4割を占めています。
日本の個人金融資産の保有は偏っていて、
平均で計算した結果だけで判断することはできません。
(次回に続く)
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