第1105回
収益を落としている企業
今年も2月の半ばに入り、
これから中国企業の2008年本決算が発表されてきます。
2008年本決算ではサブプライムローンの影響から
業績が低迷する企業が多くでてくるでしょう。
特に輸出企業は大きく業績を落とすことが考えられます。
では内需関連企業はどうかといえば
企業によってばらつきがありますので
収益が伸びている企業、停滞している企業、
収益を落としていく企業とでてきます。
収益を落としていく業種では電力企業があげられます。
例えば電力企業は2008年、
主要燃料である石炭の価格が高騰していましたが、
インフレを懸念する中国政府が電気料金の据え置きを継続したため
コスト増を転嫁できず、収益が大きく落ち込む結果となりました。
その後、国家発展改革委員会は
電力卸売価格を2回にわたり値上げしましたが、
石炭高騰を受けたコスト増を吸収できず
2008年本決算では厳しい内容となります。
5大発電会社はいずれも
2008年1〜10月期に多額の赤字を計上しており、
その上場子会社である華能国際電力、華電国際電力などはすでに
2008年12月本決算で赤字に転落するとの見通しを発表しています。
ではもう電力企業はダメかといえば
年初からの石炭価格の急騰を受け、
2008年6月中間決算では軒並み業績を悪化させていましたが
ここにきて経営環境が大きく改善し
すでに最悪期は脱したとの見方がでてきています。
コスト増大要因となっていた石炭価格が軟化し、
中国国内の石炭スポット価格は今年7月にピークを付けた後、
世界的な景気悪化に伴う需要減退観測から
8月に入って下げに転じてきたためです。
2008年12月本決算では赤字になる電力企業も多く出ますが
ここから収益が回復していけば
株価でも反転していく可能性が出てきます。
また、世界的な金融危機やそれに伴う経済情勢の悪化で
航空輸送の需要が減退したこと、
国内の石油価格が高騰したためコストが膨らみ
航空会社も2008年12月本決算で
赤字に転落する企業が多くでてきます。
中国政府は各航空会社に資金注入し
救済策を出すと2008年11月に発表しました。
中国南方航空は
親会社の中国南方航空集団公司を引受先とする
第三者割当増資を実施し、総額で30億元の資本注入を受け
資本を増強することで財務コストの軽減を図っていきます。
しばらくは業績でも低迷するでしょうが、
回復していく目処がつきはじめています。
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