第970回
玖龍紙業の中間決算から
中国本土で最大の段ボール原紙メーカーである
玖龍紙業(コード:2689)は
2006年12月中間決算で売上高が前年同期比で22.9%増、
純利益が69.2%増と伸びています。
また、中間配当として0.016元出します。
2006年には第9、10生産ラインが稼動を開始したことで
生産量が増加し、
包装紙の販売量は前年同期比23.2%増となっています。
また、自社発電所の余剰電力の販売高が13.8%増の9300万元、
金利収入や為替差益の増加、財務コストの減少で純利益が膨らみ
69.2%増となりました。
玖龍紙業は2007年6月までに生産能力を
現在の450万トンから535万トンまで拡大させ、
2007年には775万トンまで拡大させていく予定です。
また、広東省東莞市に建設予定の自社ふ頭は
2008年上期の着工予定で、
完成後には運輸コストの低減につながっていきます。
玖龍紙業は現在紙パルプ工場を買収する計画があり、
買収対象の工場は年生産能力40〜50万トンとなっていますが、
買収協議が長引く可能性もあるとしています。
また、玖龍紙業の張茵董事長は
3年以内に国内段ボール市場でシェアを
現在の18%から30%に高めていくと公表しました。
玖龍紙業は2006年3月に上場した企業で
公開価格の3.40香港ドルに対して
初日の取引は4.75香港ドルで取引を終えていました。
2006年6月本決算では売上高が前年比で63.8%増、
純利益が352.6%増と大きく伸び
株価もその後上げてきています。
2月16日の株価は16.70香港ドルとなっており、
上場初日の終値の4.75香港ドルに対して3倍強株価は上昇しました。
利益が伸びているのですから、
株価もそれに準じて上がってきていますので妥当です。
現在玖龍紙業に対しては懸念材料もあります。
紙製品の生産能力が予想以上のペースで拡大しているために
今後は供給過剰に向かう可能性があり、
今後2年間中国本土の紙製品に対する需給に不透明感もあります。
また、玖龍紙業の現在の株価に対しては
業界他社と比べて4割程度の割高水準になっています。
今後は
毎年100%以上純利益が伸びていくということはないでしょう。
ですが、今後数年間は30%〜50%程度の成長は期待できそうです。
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