第905回
世紀陽光生態科技のIRから(その四)
中国における有機肥料の普及は始まったばかりで、
現在全国で1年間に消費される肥料は
約1億5000万トンとなっていますが、
大半は依然として化学肥料を使っています。
中国で使う有機肥料は全体の3%に当たる450万トンにすぎません。
今までは食料の増産が優先され
大量の化学肥料が投入されていました。
ですが、国民が豊かになるにつれ“食の安全”意識の高まりで
有機肥料の使用が増えてきています。
先進国の有機肥料使用率が30%以上に達しており、
中国でもこれから普及の余地が大きい市場です。
中国で有機肥料を生産している企業は300社程度あります。
ですが、1社平均の生産能力は年間1万5000トンで
零細企業が大半となっています。
世紀陽光は生産能力でみれば年間15万トンと業界最大手です。
世紀陽光の「出荷先は工場から200〜300キロ圏に限られ」ています。
商品自体は高いものではありませんので、
遠くまで運んでいては採算が取れません。
これは他の企業にもいえ、
例えば北京で営業している企業が
南部まで商品を運んでくることはありません。
運送費だけで赤字になってしまいます。
この点では地域限定の商品といえます。
世紀陽光の主要市場は
福建、江西の両省と周辺各省に限られています。
国内シェアでは3%で、
特に福建省シェアは30%と高くなっています。
中国政府は第11次5カ年計画(2006〜10年)で
農業重視を掲げており、同社にとって朗報です。
世紀陽光の関董事は、化学肥料を使用してきた農民に
有機肥料の良さを理解してもらうのに苦労しているが、
化学肥料と有機肥料の年間コストを比較した場合、
実際にはそれほど差がないと説明しています。
中国政府は有機肥料の使用率を
2010年までに10%に高めていきたいと考えています。
有機肥料の生産では、
堆肥(家畜の排泄物や植物のくず)などの原材料に
バクテリアを加えて発酵させていきます。
世紀陽光は発酵所要日数を
業界では一般的な約20日間となっていますが、
同社は10〜12日間と短縮する独自の技術をもっています。
また、他のメーカーが単一原材料に頼っているのに対し、
同社は堆肥のほか、飲料、大豆、茶葉などを生産する際に出る
有機廃棄物などを原材料として使用する技術があります。
従来の主力製品だった微生物化合肥料に加えて
2005年から投入したユーカリ栽培用有機肥料が大ヒットしており
2006年には売上構成の30%を占めるまでに成長してきました。
バイオ有機肥料の生産には厳格な認証手続きで最低3年間かかり、
他社の新規参入は困難となっています。
現在も同社の優位性はありますが、
今後も販売ネットワークの構築と
ブランドイメージ確立に力を入れて
さらに成長させていきます。
今後も特定の農産物に特化した「カスタマイズ商品」や
バイオ農薬の開発を行い商品を増やしていきます。
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