第561回
中国が人民元を約2%切り上げへ
中国人民銀行(中央銀行)は
2005年7月21日午後7時(北京時間で、日本では午後8時)から
米ドル対人民元レートで
8.2765元に対して8.11元に切り上げて
切り上げ幅は約2%とすると発表しました。
人民元相場はいままで実質的なドルとのペグ制で、
1米ドルに対して人民元レートは8.2765元で
ほぼ固定されていました。
今後はアメリカドルの通貨だけではなく、
ほかの海外通貨も組み合わせた「通貨バスケット制」を参考にした
管理フロート制を導入すると発表しました。
また人民元レートの変動幅に対しては
7月22日の売買の中間レートから
上下0.3%以内にとどめると発表しています。
*「通貨バスケット制」とは
一国だけの通貨だけではなく複数の通貨を
ひとつのかご(バスケット)の中に入れ、
複合通貨を組み合わせて全体の平均値を出し
その日のレートを決定していくものです。
アメリカドルや日本円、ユーロ、香港ドル、
その他の通貨と組み合わせていくと考えられています。
中国当局はどの国の通貨を採用するかの中身は発表していません。
主要通貨を採用していく
というだけの発表まででとどまっています。
人民元を取引している場所は
上海にある上海外貨取引センターですが
参加できる銀行は中国の人民銀行(中央銀行)、
中国四大銀行などの外貨業務が認められている地場銀行、
および一部の外資系銀行に限られています。
中国が人民元を切り上げる幅に対しては
もっと大きい数字になると予想されており
5%前後が有力な切り上げ幅の範囲でした。
アメリカ政府は元の切り上げ幅では10%以上でないと
話にならないといってきました。
元を切り上げる時期に関しても
今ではなくもっと遅い時期になると考えられていました。
ですが今回中国は
人民元の切り上げ幅を2%程度と小幅にとどめて実行しました。
「通貨バスケット制」での取引が開始された7月22日の変動幅では
基準となった取引通貨の8.11元に対して
やや元安の8.1111元となり0.0011元値下がりして引けました。
中国の上海外貨取引センターに参加できる銀行は限られていますので
投機資金が入る余地はほとんどなく、
為替相場では中国当局の介入によって相場は変動します。
中国当局は元高になるようであれば介入を行って
市場に資金を大量に投入して
元を一定の範囲での価格で維持していくことが可能な市場です。
”実質的には中国人民銀行がコントロールする市場である”
ことに変わりがありません。
<次回に続く>
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