第498回
人民元切り上げ期待
中国の通貨、人民元に対して現在切り上げ観測が出てきています。
中国の通貨は現在
アメリカ通貨1ドルに対して8.276元の値で取引されています。
人民元相場の変動幅拡大率では
5〜10%程度になると見られています。
もし人民元の変動幅が5%切り上がったとしたら
アメリカドルに対してどのような影響を与えるのでしょうか。
アメリカドルが100円の時、
Aという品物が今まで100円で購入できたものが
今度は同じAという品物でも
今度は105円出さないと購入できなくなります。
普通に考えれば同じAという品物に対して105円出して購入するより
100円ですめば5円お得なのですから
100円の方がいいに決まっています。
ですが、アメリカと中国の貿易に関してみてみると
そうはいえなくなってきます。
アメリカの2004年の貿易赤字額は6177億米ドルとなっており、
その中で対中赤字(アメリカが中国に対しての赤字額)は
貿易赤字額全体の四分の一となっていて
金額では1620億米ドルです。
アメリカは貿易赤字を減らす為に
中国に対し人民元切り上げの圧力を再三かけてきました。
元が切り上がるという事は
中国がアメリカに輸出するAという品物に対して
今まで100円で受け取っていたものが5%切り上がれば
今度は95円しか貰えないという事です。
単純に対中赤字の1620億米ドルで計算すると
5%切り上がっただけで
81億米ドル少ない1539億米ドルで済みます。
米ドルが日本円で100円だとすると
5%きり上がっただけで8100億円も支払うお金が少なくて済みます。
もし10%なら162億米ドルですから
1兆6200億円も支払うお金が少なくなります。
貿易赤字で苦しんでいるアメリカにとっては
元切り上げは為替の変動幅を認めるだけで
赤字を減らせるのですから、
元切り上げは”打ち出の小槌”と同じです。
ですが中国政府は人民元の切り上げを行っても
経済、輸出に打撃を与える影響は少ないと見ていて、
中国から米国への輸出品は中・低ランクに属し
価格が1、2割上昇したとしても
依然米国で生産したものよりも安い値段に設定できると
自信を示しています。
では中国の株式市場と日本の投資家の投資金額に対しては
どのように関わってくるのでしょうか。
日本の通貨はアメリカドルに対して変動相場制を取っています。
・変動相場制とは
フロート制ともいいますが、
為替レートを一定比率に固定しないで
マーケットの需要と供給によって決まっていくというものです。
ですので日本に海外のお金が入ってきた時に円高となり、
日本にあるお金が
アメリカに向かって流れていくと円安となります。(普通は)
中国の通貨に対して
切り上げ予想は今までいつかは行なわれるであろう
という事はいわれてきていましたし、
今まで何回か取り上げて書いてもきました。
ですが、今回は実際にその時期が近づいていることを
中国政府自身が認めたのです。
<次回に続く>
|