第499回
実施時期
温家宝首相は3月に入り
人民元の為替制度改革は現在進行中で、
改革案実施時期に関してはいつ、どのようにするかは
意表をついたかたちで切り上げられるだろうと述べています。
中国人民銀行の周小川総裁は
人民元為替改革はすでに準備が始まっており
開始の好機を待っている。
技術上の準備は完了しており
政治・経済条件は整っている、と言っています。
では人民元切り上げはいったいいつごろ行なわれるのでしょうか。
実施時期に関して市場での見方は大きくわかれています。
早ければ5月連休明けという観測もあります。
また今年上期に人民元相場の変動幅が拡大する可能性は
低いという見方もあります。
現在投機筋のお金が流れ込んできている為に
投機筋が鎮静化した時にこそ
人民元に対し
温家宝首相の言う意表をついた変動が出現する時だろう、
という見方もあります。
これだけは中国政府の出方次第に任せるしかないというところです。
マラソンのスタートに立った選手がいつ合図が出るかわからずに
スタートのポーズで待っているのと同じです。
今回人民元が切り上げられたとしても
それはマラソンで言えばスタートを切って走り出した、
という段階です。
中国は今後さらに柔軟性に富んだ人民元為替レート、
米ドルとの変動幅の拡大、
あるいはバスケット通貨とのリンクに変えることによって、
人民元がさらに中国経済の実情を反映し、
最終的には人民元が変動相場制に向かって
徐々に移行していけるようにしていきます。
マラソンのゴールは
中国の通貨、元が完全に変動相場制になったときです。
ですので今回の出来事はこれから始まるマラソンに対し
固唾を呑んで見守っている状態です。
ゴール(変動相場制に移行)するのは
まだまだ遠い数年先のことです。
では、人民元が切り上がった時、
日本の投資家はメリットがあるのでしょうか、
それともデメリットとなるのでしょうか。
アメリカドルに対して
日本の通貨の価値がいくらになっていくかも見ないといけませんが、
ここでは単純に見てみます。
人民元が5%切り上がったとしたら
日本の投資家は今度は為替に対して
5%分多くのお金を支払わないと中国株を購入できません。
ですので今まで100円で購入したものに対して
今度は105円出さないと購入できなくなります。
では配当金に対してはどうかというと、
中国株を購入しておいてその企業に100円の配当金がついたとき、
日本円が5%分安くなっていますので
今度は105円を配当金として受け取ることができます。
つまりこの5円が為替での利益です。
ですから元高にならないうちに購入しておけば
5円分がお得となります。
もし配当金でも株価でも安く購入しておきたいのであれば
元高が決まる前に購入しておくことです。
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