第294回
2倍以上
華能国際電力の
2002年10月時点の株価の安値は4.98香港ドルでした。
簡単に計算するために
2002年10月に約5香港ドルで購入したとします。
華能国際電力の株価はその後上がっていき、
2004年4月には17香港ドルまで上がっていきました。
この時点では投資した株価に対して
3.4倍にまで上がったことになります。
華能国際電力は2003年期末決算で10割無償を行いました。
10割無償が付くという事は株数でも今までの2倍になる、
ということですからその分株価は下がります。
華能国際電力の株数は2倍になりましたから
株価は二分の一になると釣り合いが取れます。
ですから株価では半分の8.5香港ドルまで下がります。
その後の同社の株価で見ますと
現在の株価は約6香港ドル近辺です。
現時点での投資利回りを見てみますと、
株数では2倍になっていて、株価では6香港ドルですから
計算では2倍×6香港ドル=12香港ドルとなります。
投資した株価が5香港ドルですから
投資結果としては約2.4倍となります。
2004年4月には17香港ドルで3.4倍にまでなりました。
今の時点では2.4倍です。
ですから購入時から
今までの高値の2004年4月の時点で売却しておいた方が
大きな利益となりました。
確かに今の時点で見るとそうなります。
ですがこれは結果を見たからわかることです。
また華能国際電力の株に対し
2倍になった時点で売却していたとしたら
現時点ではは2.4倍ですから
同じ株数を買おうとしたら今まで投資した金額では足りません。
0.4倍分金額を足して購入しなければいけません。
このほかにも見ておきたいこととしては
華能国際電力の配当金があります。
・華能国際電力
2002年配当金 --- 0.342人民元
2003年配当金 --- 0.500人民元
5香港ドルで購入した2002年配当金では約6.4%での利回り、
2003年配当金では約9.3%の利回りとなります。
華能国際電力株を売却しなかったときには
この配当金が投資家の手に入ります。
また華能国際電力株を2倍になった時点で売却したとしても
もうひとつ問題があります。
売却したお金を確保してそれ以降投資をしない、というのであれば
利益を完全に手にできます。
ですが売却したお金で他の企業に再投資することを考えた時に
投資できる企業が他にあるかどうかということです。
華能国電力株を2倍で売却して投資したい企業があり、
その企業のほうが魅力が大きいのであれば
売却もひとつの方法です。
ですが利益最優先で売却した場合には
売却自体が正解だったのかどうか疑問が残ります。
華能国際電力株が2倍になったのにはそれなりの理由があります。
ですから投資家本人が投資した時点での投資利益だけを見ていると
本来の利益を見失う場合も考えられます。
例えば4年後に10倍になる銘柄に投資していたとしても
目先の2倍の利益だけにこだわると
本来の大きな利益を手にできないこともおきてきます。
投資家にとって大きな利益を手に入れるときに
一番の敵は外側にいるのではなくて、
自分自身の内側に棲んでいる欲との戦いになることがあります。
|