第205回
第十期全国人民代表大会
3月5日から北京で第十回全国人民代表大会が開かれました。
中国の温家宝首相は冒頭の演説で
政府活動報告を行い概要が明らかになっております。
<概要>
・今年の成長率を7%前後に維持する。
・事実上米ドルに連動している人民元に関し、
「国際収支の基本的な均衛を維持する」とし、
為替制度、資本規制の見直しに向けて環境整備を進める。
・農業に対する梃入れ策等。
今年の成長率を7%前後に維持する、
とする内容を見ていきますと、
2003年の中国の経済成長率は実質9.1%に達しました。
このために国内では行き過ぎた投資や
生産設備の過剰問題が出てきました。
上海では不動産ブームが起きてマンション価格が上がり、
投機の対象として取引が活発になりました。
そのために実際に住む人がいない
空き家のマンションも多く出てきています。
このようなことが長引くと
いずれマンション価格は値崩れを起こして下がり
デフレになる可能性も出てきますし、
銀行などが貸し付けていたお金が
不良債権化する可能性もでてきます。
このような事態を避けるためにも安定した成長が大事です。
中国政府は今年の対応策として
2003年度に発行した建設国債の発行額を
1400億元から300億元減らし1100億元にするといっています。
これを今後過剰な投機を仰止する手段として
活用しようとしています。
今後も投機が収まらないときには
銀行金利を引き上げて抑制しようとするでしょう。
温首相は
「市場への参入条件に合わない新規の建設プロジェクトに対し、
金融機関は貸付を行わない」
としています。
融資の審査と監督を強化し、
金融面でコントロールを行い抑制していきます。
昨年の中国の固定資産投資額は
5兆5,118億元で前年比26.8%増でした。
消費者物価指数の伸びも1.2%増となってきています。
中国国内でインフレになる可能性も指摘されています。
安定した国家発展の為には
今のうちにそのような芽を摘み取っておく必要があります。
今の中国が望んでいるのは安定した経済発展です。
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