第206回
「人民元」と「私有財産制度の保護」
第十期全国人民代表大会で
事実上米ドルに連動している人民元に関し、
「国際収支の基本的な均衛を維持する」とし、
為替制度、資本規制の見直しに向けて
環境整備を進める考えをしめしました。
また為替に関しては現在の中国の通貨、元が
国際収支として貿易黒字が膨れ上がってきているのに対して
海外へお金が流れるように
資本移動の見直しを行い規制緩和を行うとしています。
このままでは中国が大幅な黒字を維持していき
元に対して、(特にアメリカが)変動相場制に早く移行するよう
迫ってきます。
中国は少しずつの元高なら(為替変動幅が少ない範囲)
できないことはありません。
中国が今後安定成長していく段階で
今は為替でも大事な時期になってきています。
また、今回の焦点は「私有財産の保護」が
最も重要視された部分です。
今回の憲法改正案の中で
第13条の中に人権保障を明記した部分です。
中国憲法第13条
--- 今までの条文
「国家は合法的財産の所有権を保護する」
--- この条文を
「公民の合法的な私有財産は侵されない」
と、しています。
また、国が
「公共の利益のため法律の規定にもとづき
公民の私有財産を収容でき、保障を与えることができる」
と、明記しています。
これはどういうことか、というと、
今までは国民の財産保護は曖昧でした。
ですが、今回の条例で
私有財産の保護ができることになりました。
今までは個人企業が成長していったときには
どのようなことが起きる可能性があったかというと、
個人が経営している企業であったとしても
会社の規模が大きく成長したときには
企業自体が国に接収される危険性がありました。
ですから企業経営がうまくいっていたにしても、
うかうかしていると、知らない間に国のものになってしまい
(力ずくで)結局何のためにがんばってきたのかの
意味がなくなってしまいます。
結局がんばってもがんばらなくても同じではないか、
という風潮が今まではありました。
ですが、今回の改正法案で
このような危険性はなくなりましたので、
個人でも安心して事業拡大ができることとなりました。
自分で稼いだ分に関して
私有の財産が認められるのなら努力する甲斐が出てきます。
そのことを国は文面で国民に知らせることにより
精神的にも法律的にも認めることを条文化しました。
<次回に続く>
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