第173回
国内経済の過熱感は?
昨年の中国経済は力強く成長しました。
ことにSARS以後の成長は目覚しく、
国内経済の過熱に対し指摘する意見もあります。
しかし、国家統計局局長 李徳水氏は、
北京での記者会見の席上、
昨年の中国経済全体には加熱情況は出ていない。
しかしある特定の地区、特定の業種には
過熱現象が見られると指摘しました。
昨年国内で消費した鋼材は2.6億トンに達し、
世界全体の36%を占めています。
また石炭の消費量は15億トンに達すると見込まれますが、
これも世界全体の石炭の30%を占めています。
セメントでは、
昨年の世界全体のセメント生産量は15億トンでしたが、
中国はそのうち8.2億トンを消費しています。
これは総量の55%です。
この例をあげ
「過熱現象の出現を心配するのも、理由がないことではない。
しかし国家はすでに一連の措置を採った」と語り、
中国経済全体としては加熱してはおらず、
マクロ政策上も急ブレーキをかける必要はない、と指摘しました。
李徳水局長は経済の過熱を否定していますが、
国家統計局のデータは
経済過熱のきざしが出現する可能性があることを示しています。
国内のインフレを反映し、昨年の消費者物価指数(CPI)は
前年比1.2%の増加となっています。
しかし先月(2003年12月)は前年同月に比較し、
3.2%と大幅に上昇しました。
また昨年の小売物価指数は前年比0.1%のマイナスとなりましたが
先月は1.9%の上昇となっています。
この他、昨年末の通貨供給量は19.6%増加し、
GDPおよびCPIの伸び率よりも高くなっています。
また、固定資産投資も26.7%と大幅に増加しています。
李徳水局長は、
主として投資および消費需要の伸びにささえられ、
今年の1−3月期の経済成長は
引き続き比較的速いテンポを維持すると予測していますが、
ただし輸出は比較的大きく下がる可能性がある、と語りました。
だが中国の経済成長は安定して伸びていくことが見込め、
一気に減少することはありえない、と説明しています。
また国家のマクロ経済政策は今年も行なっていき、
その上で引き続き
積極財政政策および安定した通貨政策を実行する必要がある、
と述べました。
特に銀行の貸出しで不動産が
(土地は国の所有物ですから上物の建物に関して)
これ以上加熱してきた時には
金利引き上げの処置が取られてくる可能性があります。
今後も金利政策等を通し、
金利を上げて安定した経済発展をさせていこうとしています。
今後はその行方を見守っていく必要があります。
今のところ万全とはいいませんが
合格点の経済運営をしている、と見ていいでしょう。
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