第168回
元切り上げと株価の関係
今、元切り上げ問題が話題になっています。
元切り上げ時期はともかく、
将来には切り上げになっていくことは確実です。
では、中国の通貨の元がきり上がると
株価とどう関係があるのでしょう。
香港の株を持っていたらどうなるのでしょうか?
どう影響するのでしょうか?
メリットは、デメリットは?
元切り上げに関して今どうしたら一番得策なのかを考えてみます。
今中国の通貨元はアメリカドルに(ほぼ)固定されていて
現在1ドルが8.277元となっています。
香港ドルはアメリカドルとペグ(固定)されています。
今後、中国の通貨、元が変動相場制になったときには
固定が崩れ元の価値が上がり、
8.5元、8.0元、というようにきり上がっていきます。
このときには香港の通貨、香港ドルは
アメリカと固定されていますので
中国の通貨、元に対して弱くなっていきます。
日本円も中国の通貨の元がきり上がったときには
元に対して弱くなっていきます。
この点では香港の香港ドルと日本の円の立場は同じで、
日本で中国の株を購入しようとすると
多くの日本円を出さないと中国の株は買えなくなります。
香港ドルも同じで多くの香港ドルを出さないと買えなくなります。
まず、このような関係があります。
中国の企業は中国本土でも上場していますが、
香港市場でも上場しています。
ここでは中国に上場している企業に対して株を購入するときには
多くのお金を出して購入することになりますが、
香港市場の中国株は中国の通貨、
元にたいして弱くなっていますので
多くださないと買えない事は分かりますが、同じ中国株です。
このときには同じ企業でも香港で買うのと、
中国本土と買うのでは違いがでてくるのでしょうか?
まず、元と香港ドルの株価との関係だけを見て行きます。
中国の通貨、元がきり上がった時に同じ(値段の)株でも
中国市場の株を購入するのに
通常で考えると多くお金を出さないと買えない事になります。
では、香港の中国株はどの様な動きをするのかというと、
今まで同じ株価でも
元のきり上がった分だけ株価が上昇することが考えられます。
例えば、ここに100円の”A”、という品物があったとします。
中国と香港ではこの同じ品物の”A”が100円で買えたのですが、
元きり上げによって、例えば20%きり上がって
外国では120円出さないと買えなくなったとします。
ですが、香港では同じ品物ですから
為替を考えなければ同じ100円という金額で買えないと
おかしいことになります。
ですが、ここで為替が20%きり上がっているのですから、
為替のことを考えると20%分の為替分が
価格に上乗せされていなければ釣り合いが取れません。
ですからここで価格は調整を行います。
”A”という品物は20%上昇し、
(本来は83.333円ですがここでは単純に
100円から20%きり上がった価格で計算します。)
80円、という価格になります。
そうすれば20%きり上がった価格の100円と同じことになります。
これを香港の通貨で考えると、
中国株が20%きり上がったときには
香港株も20%高くなった株価でなければ
釣り合いが取れなくなります。
つまり、中国で株価が100円の株が100円で売られていたときに
20%の元の切り上げがあったときには
香港では同じ銘柄の株が120円で取引されるようになり
バランスが取れていく、ということになります。
”A”中国市場と香港市場で同じ銘柄が100円で取引されている。
↓
20%、元の切り上げ。
↓
中国100円、香港120円で取引される。
(これでバランスがとれた)
と、いう事になります。
ここでは損も得もありません。
経済から見た株価のバランスが取れた、という事で落ち着きます。
<次回に続く>
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