同じ出資者だから私が払ってあなたが受け取ることはないだろう。手形の残額はそちらで買い戻してくれと下駄をあずけてしまったのである。関西工機も一回か二回はお金を送ってきて手形をおとしたが、関西工機自身の経営が極端に悪化していたので、期日に間に合わなくなってしまった。何ということをするんだと怒り心頭に発しながら、お金を立て替えたこともあるが、やがて追っかけるように資本金六億円の関西工機自身が不渡りを出して株式市場から消えてしまった。
とうとうこちらも不渡りを出して銀行から取引を停止されてしまったが、砂利屋は潰れなかった。社長は形勢不利と見るや、いち早く会社をやめてしまったし、社長不在のまま手形が不渡りになっても、大債権者と大株主が同じ人たちなので、債権者は誰も押しかけてこない。ブルドーザーとショベルローダーは地元の販売会社から買っていたが、これは古くなった機械を引き揚げても一文にもならないから、あとは毎月、現金で返すことで話がついてしまった。倒産したといっても、昨日と同じように作業を続けることができ、現場に私から派遣されていた青年が代表取締役になって、細々と経営を続けた。
あとになって考えてみると、この時期に、砂利屋をやることは、業種的にも、タイミング的にも決して途方もないことではなかった。その後、私は大きな砂利屋からコンサルタントを依頼されたこともあり、また砂利屋の組合の集まりで講演をしたことも何回もあったが、砂利屋で巨額の富を築いた人は一人や二人ではなかった。
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