勇んで始めた砂利屋が倒産の危機に
飛び込んできた儲け話
アメリカ式のドライクリーニング屋のチェーン店づくりとほとんど同時進行で、私は栃木県の鬼怒川べりで砂利屋をはじめた。
観相家の浅野八郎氏のお見立てによると、私は気が多くて、仕事をやる場合にも、三つくらいの仕事を同時にやらないと気がすまない性だそうである。また、"お金儲けの神様"に似合わず、義理人情にからまれることが多く、そのために損をすることもよくあるそうである。
鬼怒川べりの砂利屋商売はまさにその予言を地で行くようなものであった。
「マネービル」というビルを建てて、その三階でコンサルタント業を開業すると、顧問先の企業から次々と新しいプランを持ち込まれた。人から相談を持ち込まれても、終始第三者の立場を崩さず、客観的な意見を述べるだけなら無事なのだが、つい話の中身に深入りしすぎるのが経営コンサルタントの通弊である。
私の友人でアドバイスだけやっておれば商売繁盛だったのが、お金の儲かっているクライアントたちのザクザク入ってくるお金に目がくらんで、自分からチェーンストアのフランチャイジーになったり、会員制テニスクラブに手を出したりして、事、志と違い、とうとう倒産にまで追い込まれた人もある。そういう私も、人を笑えた義理ではなく、次から次へと持ち込まれる儲け話にダボハゼのように喰らいついて失敗をやらかした。
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