米国で大流行のウォッシングマシン
私がコンサルタントをやった企業の一つに、二部上場の石油ストーブメーカーがあった。
もともとはミシンのヘッドをつくって年間一億円くらいの売り上げをあげていたが、息子が後を継いでから、工作機械を手がけ、さらに石油ストーブに手を出したところ、これが当たりに当たって、たちまち年間二十億円近い売り上げになり、株価も人気づいて千円近くまで急騰した。
この人の工場を、あるとき、経済雑誌の記者に誘われて見学に行ったところ、見学後の感想を求められた。私は石油ストーブブームに不安を感じていたので、
「おたくの商売はあまり安定したものではありませんね。見ていて不安が残りますよ」
と率直な意見を述べたら、ご本人から、
「センセイは正直にものをおっしゃる方ですね。実は私もそう思っておりますので、ひとつ今後の相談に乗っていただけませんか」
と要請された。
しばらくたってその人が、新事業の一つとしてアメリカで目下大流行中のウォッシングマシンの生産をやろうと思うが、どうだろうかと相談をもちかけてきた。いろいろきいてみると、アメリカではショッピングセンターやスーパーの中にコインオペによるクリーニングショップができていて、買い物に来た主婦たちが買い物をしている間に自動クリーニングの機械を使って洗濯をするのがはやっていると言う。
クリーニングの機械は、水洗い用の機械とドライクリーニング用の機械に分かれていて、いま話を持ち込まれているのは、機械の製造ではなくて、アメリカから機械を輸入して国内で販売する代理店の仕事だという。
話を持ち込んできたのは、ある商社の機械部の人だったので、早速、その人に来てもらって説明をきいた。アメリカから頼まれているのは、機械をクリーニング屋に売る仕事だそうだ。相談を受けた私は、もともと一つの話を一ひねりも二ひねりもしてひっくり返してみる癖があるので、クリーニング屋に機械を売ってその代金を手形で払ってもらうとすると、手形が無事おちていくだけの営業利益がクリーニング屋にないと駄目だろう、それが大丈夫だというのなら、いっそ末端のクリーニング屋をやったほうがいいのではないかとカウンターオファーをした。
←前ページへ 次ページへ→

目次へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ