人海戦術で一個百円のコーヒー茶碗をつくっているのを見た直後だけに、私の印象はことのほか鮮明であった。だから小汀さんから「表通りに出ないと駄目ですよ」と言われたときに、「やっぱりそうだな。表通りに出る必要があるなあ」とすぐに合点して、トヨタの株に乗りかえたのである。
ところが、株価に関する限りトヨタはなかなか走らなくて、日本陶器のほうがよく走った。どうしてそういうことが起ったかというと、日本の自動車生産技術はまだ輸出に耐えられるほど進んでいなかったが、コーヒー茶碗のような人海戦術を要する製品はすでにアメリカで引き合わなくなっており、品質がよくて細かいところに神経の行き届いた日本の製品は、海外にドンドン売れるようになっていたからである。
こうした思いもよらないどんでん返しは、時代が変わると、また逆転することもあり得る。しかし、駆け出しの頃の私は、単純に近代技術の最先端を高く評価していたので、しばしば大魚を逃がす思いをした。実地に経験をしなければ、わからないことばかりだし、何回経験をしても、また意外なことに出くわしてしまう。
だから、私はいつも「株の勉強をしたかったら、どんな本を読むことよりも、まず株を買ってみることです」と初心者にすすめている。
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