しかし、堅気の商売に従事している人たちは、パチンコ屋を一種、見下げたような目で見るし、その気持ちの中には、楽をしてお金がザクザク入ってくることに対する嫉妬心も、もちろん、含まれている。だからパチンコ屋は、お金はあるが地位のない自分の弱点を、社会事業をやるか社会的地位のある人と結びつくことによって補おうと懸命になる。
あるとき、私が地方都市の講演に行ったら、その地方で大きなパチンコ屋をしている知人がわざわざ飛行場まで迎えにきてくれた。私には別に講演会の主催者が迎えにきていたが、その人は主催者をさしおいて、自分の車に私を乗せ、
「まだ講演会まで時間がありますから、これから県知事のところへ行きましょう」
と言う。講演会は県の主催でもなかったし、私は県知事に用事があるわけでもなかったので、一瞬とまどったが、すぐにその人が自分は一介のパチンコ屋だが、地方のボスたちにいかに顔がきくか、私に見せたがっているのだと気がついた。
県知事とか、県会議長とか、市長とか、市会議長とかいった地方の政治家たちは、選挙に勝つためにたいへんな苦労をする。お金も異常にかかる。うまく当選をすれば、社会的地位ができるが、軍資金は十分でない。
一方、パチンコ屋はザクザク、ジャラジャラとお金は入ってくるが、社会的地位がない。
そこでないものがあるものを求め、お互いの欠点を補いあう。だから、どこの地方に行っても、パチンコ屋と政治家はナアナアの関係で結びついている。 |