第358回
「癌患者に、大きな福音」
麻薬として有名なモルヒネには
痛みを抑える作用、咳を軽くする作用、
下痢を止める作用など、
実に多種多様の作用があります。
例えば現在、
塩酸ロペラミドという
モルヒネに類似した成分が
病院で下痢止めとして
非常によく使われておりますが、
その理由はどんな下痢でも
すぐに収まってしまうからです。
そのため、モルヒネは
以前、痔の手術後に出来た傷を
きれいに治すためにも使用されてきました。
また、モルヒネの持つ
鎮咳効果や鎮痛効果は
現在使用される薬物の中でも
最強の部類で、
ほとんどの咳や
痛みを抑えることが可能です。
しかし、そのメカニズムは
直接、脳の中にある
中枢神経に働きかけるため、
使用量を多くすると
呼吸が停止してしまう恐れがあります。
現在、私が興味深く思っているのは、
下痢止めとして繁用されている
モルヒネの類似成分、塩酸ロペラミドに
モルヒネの代用薬として
痛み止めとしての効果が
意外と備わっているのではないか
ということです。
仮に、塩酸ロペラミドを併用することで
モルヒネの使用量が減らせれば、
痛みに苦しむ癌患者の方々にとって
それは非常に大きな福音となります。
※塩酸ロペラミド(商品名:ロペミン)
腸の蠕動を抑え、
腸の内容物の通過を抑制することによって、
下痢を止めます。
但し、細菌性の下痢には向きません。
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